top of page
検索

都市クオリア指標の高め方② 「教育・福祉機能」による多様性拡張

都市づくりにおける教育・福祉機能の重要性は以前から認識されてきましたが、単に学校やシニア施設を整備しただけでは、地域とは関係なく閉じた世界で孤立してしまいます。都市のビジネスとは全く異なる論理で活動していく教育・福祉機能では、学生やシニア、障害などの当事者がそこに居るだけではなく、この人たちとの関わりの中で視野と思考を拡張していく事が、街のユーザーの幸せ実感(=生産性向上)に寄与する訳です。都市づくりにおける教育・福祉機能は、誤解を恐れずにいうと「弱者との交流機会」として極めて有効といえます。「まちの保育園」のように子ども達と地域との接点となるカフェやギャラリーが内包されていたり、「スワン・ベーカリー」のように障害者がスタッフとして働く店舗などが好例だと思います。以前京都に住んでいた時、京都の料亭やバーなどでは「学割」がある事を知りました。大学生はもちろん大学教員など学校関係者は割安で飲める訳で、金欠の学生たちには優しいルールといえます。京都の街の人たちが大学に対してリスペクトすると共に、若い時から一流の味と技に触れさせることで、将来の上顧客を育てようという意気込みを感じました。就活に企業インターンが必須になりつつあることも有効だと思いますが、「ハナラボ」のように(女子)学生の意見やアイデアを、地域課題の解決や企業のサービス開発に繋げる機能も面白いと思います。私は超福祉展の活動を通して、大手メーカー幹部から「障害者こそスーパーユーザーだ」という指摘をいただきました。彼らは競合他者との差異化に終始するのではなく、障害者の意見や視点を通して自社商品の新たな機能開発のヒントにしているそうです。

業界の論理やサラリーマン視点だけではなく、子どもや障害者をはじめ多様な視点で見つめ直す機会を持つことが、ダイバーシティやイノベーションの創出につながるのだと考えます。


【教育・福祉機能による多様性拡張:子どもや障害者をスーパーユーザーに見立てる事によるイノベーション機会づくり】

最新記事

すべて表示

【内容】 街歩きの「テーマ」づくり 見立てアート視点 メタ思考で街を楽しむ 1.街歩きの「テーマ」づくり 街を歩くといっても、ただ歩くだけでは、直ぐに飽きてしまいます。 体力づくりのために歩くのなら別ですが、街歩きを楽しむための「工夫」を持った方が、継続・習慣化できるのではないでしょうか。 簡単にできる街歩きの「工夫」として、「テーマ」づくりが考えられます。 「坂のある街歩き」「アニメの聖地巡礼」

【内容】 これまでの論点整理 「歩ける街」から「歩くことを楽しめる街」へ 「歩く事+αの仕掛け」が、歩いて楽しい街をつくる 1.これまでの論点整理 注目を浴びる「街歩き」ですが、誰でもが気軽に参加できる「実施率の高さ」が重要です。 健康だけでなく、コミュニティ形成や街への愛着、防災まちづくりからイノベーションまで、様々な「街づくり」の促進役として、期待されます。 街あるきの効用については、生活習慣

【内容】 回遊性に関する研究の沿革 回遊性の定義 回遊性の工夫 1.回遊性に関する研究の沿革 「回遊性」という言葉は、1990年代以降、街づくりにおいて、頻出するようになります。 デジタル大辞泉によると、元の意味は、「魚や鯨が、産卵などのために、定期的に移送する性質」ですが、これが転じて、「買い物客が、店内や商店街を歩き回る事」となっています。 「滞留時間と買い物単価とは、比例する」という研究報告

bottom of page