【内容】
「観光」とは
旅好きの日本人
「着地型観光」への進化
1.「観光」とは
「観光」は、一般に「目的地となる一定のエリアを見て回る行動」を指します。
※「旅」は、「移動を含めた全てが目的」と言われますが、その違いは希薄化しつつあります。
観光のメリットとして、
心を打つ景色が見られる
美味しい食べ物と酒に出会える
ストレス解消・健康増進
気持ち・行動が変わる
などが挙げられ、「出会い・発見の外向的意義」と「内省の活性化という内向的な価値」に整理できます。
「まだ見ぬ世界を知りたい」という欲求は、本質的なようで、ネットや SNSを通じて、国内外の風景や食の情報を、家に居ながらにして手に入れられるようになっても、それで満足するのではなく、ますます刺激され、世界の海外旅行者数は、2019年に14.8億人を突破していました。
コロナ禍により一時的に低迷しましたが、2023年には推定13億人と急回復し、2024年には、完全回復する見通しです。
2.旅好きの日本人
日本におけるツーリズムの変遷を振り返ってみると、「旅好き」な国民性が浮かび上がってきます。
江戸時代の「おかげ参り」は有名ですが、明治時代の比較的早い時期に、観光の基盤となる交通機関、旅館の整備、観光資源の保護などが、行われていたようです。
明治末期から大正時代にかけては修学旅行が定着し、温泉地では浴衣姿によるそぞろ歩きなど、いわゆる「マスツーリズム」が一般化していました。
欧米においてはフランス、スイスを中心に第二次大戦後にツーリズムが普及したことと比較しても、その普及の早さが特筆されます。
戦後の経済成長に伴い、1955年頃にまず国内観光が盛んになり、10年遅れて国際観光の人気が高まり、1970年代には観光の大衆化、大量化の弊害として環境破壊が叫ばれるようになりました。
この動向を受け、マスツーリズムに代わって「ニューツーリズム(オルタナティブ・ツーリズム)」が提唱されるようになります。
3.「着地型観光」への進化
旅のスタイルは団体中心から個人中心に変わり、かつての「物見遊山パッケージ」では納得しない層が増え、ショッピング、美術館巡りやスポーツ・リゾート休養、産業観光、グリーン・農業体験、アニメ・映画ロケ地など様々なテーマでの観光が生み出されていきました。
日本人の「ジッとしていられない」「居る間は何かしていたい」「好奇心を持って未知の場所や体験に挑戦したい」と言う性分が反映されているようです。
さらにオンラインによる情報流通とOTA・ネット直販が一般化すると、ネットで調べて申し込み、現地集合・解散というスタイルの「着地型観光」が普及し出します。
様々な体験型プログラムが生まれ、旅の目的や嗜好の多様化を踏まえれば、「着地型観光」への進化は、当然の流れと言えます。
ただ着地型観光の消費単価は3,000円〜5,000円で、大部分は観光振興を目的にした補助サービスとして運営されているのが現状です。
地域や運営者の期待は高く、経験者の満足度が高い反面、認知度は低く、まだまだ観光産業の新しい潮流としては、発展途上と言わざるを得ません。
この「着地型観光」の未熟さに観光産業の根本的な課題があると考えます。
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