top of page
検索

美術館の新しいカタチ:アートまちづくり ⑥

アート施策の重要な方策で有る「美術館」についても、新しいカタチが、見えてきましたので、整理しておきます。

【内容】

  1. 「暗くて怖い」美の殿堂からのアップデート

  2.  ハリーポッター@赤坂サカスの可能性



1.「暗くて怖い、美の殿堂」からのアップデート

近年における美術館のエポックといえば「京都市京セラ美術館リニューアル」ではないでしょうか?

京都東山の岡崎公園内にあり、帝冠様式で、現存する公立美術館としては最も古い建物は、2020年に青木淳氏の設計でリニューアルされました。

青木氏は、「暗くて怖い、美の殿堂」という印象の美術館を、エントランスを地下一階レベルに設けた西側広場に下げることで、歴史ある本館の姿を残しながら、館内動線を刷新し、開放的にしたのです。さらに誰でも利用できるギャラリー、カフェ、ミュージアムショップなどを併設することで、「暗くて怖い」イメージを一新しています。

青木氏自身が館長に就任し、従来の有名作品×企業協賛=大量動員の「ブロックバスター型経営だけ」ではない方法を模索しています。具体的には「ラーニングプログラム」や工芸・食を巻き込む「アートビクニック」などの複合活動を展開し、アートを生かしながら「創造的な集会場」としての美術館を目指しています。


2.ハリーポッター@赤坂サカスの可能性

次世代の美術館のベンチマークとして、「ハリーポッター@赤坂サカス」が有効ではないでしょうか。

赤坂 ACTシアターでの「ハリーポッターと呪いの子」の公演に合わせて、シアター内のカフェ&ショップだけでなく、赤坂サカスが、「魔法一色」に演出されているのです。エリア内にテーマカフェやグッズショップ、フォトスポットなどが配置され、地下鉄からの大階段や赤坂Bizタワーの「仲通り」などが、ホグワーツ魔法学校の4つの学生寮や魔法ワールドの象徴的な装飾が施されています。

美術館などは、クリエイティブな仕事や会議の場としても、非常に利用価値が高いと考えます。以前「お寺でワークショップを開くと、『利他的な思考』が顕在化した意見が出やすい」と聞いたことがあります。この辺りに美術館の新しい可能性があるのではないでしょうか。

これからの劇場、美術館は、有料での入館者だけではなく、文化的な空気感を活用して、幅広い来街者に対応する「都市センター」へのアップデートが求められるのです。

最新記事

すべて表示

【内容】 街歩きの「テーマ」づくり 見立てアート視点 メタ思考で街を楽しむ 1.街歩きの「テーマ」づくり 街を歩くといっても、ただ歩くだけでは、直ぐに飽きてしまいます。 体力づくりのために歩くのなら別ですが、街歩きを楽しむための「工夫」を持った方が、継続・習慣化できるのではないでしょうか。 簡単にできる街歩きの「工夫」として、「テーマ」づくりが考えられます。 「坂のある街歩き」「アニメの聖地巡礼」

【内容】 これまでの論点整理 「歩ける街」から「歩くことを楽しめる街」へ 「歩く事+αの仕掛け」が、歩いて楽しい街をつくる 1.これまでの論点整理 注目を浴びる「街歩き」ですが、誰でもが気軽に参加できる「実施率の高さ」が重要です。 健康だけでなく、コミュニティ形成や街への愛着、防災まちづくりからイノベーションまで、様々な「街づくり」の促進役として、期待されます。 街あるきの効用については、生活習慣

【内容】 回遊性に関する研究の沿革 回遊性の定義 回遊性の工夫 1.回遊性に関する研究の沿革 「回遊性」という言葉は、1990年代以降、街づくりにおいて、頻出するようになります。 デジタル大辞泉によると、元の意味は、「魚や鯨が、産卵などのために、定期的に移送する性質」ですが、これが転じて、「買い物客が、店内や商店街を歩き回る事」となっています。 「滞留時間と買い物単価とは、比例する」という研究報告

bottom of page