【内容】
高度化する生活者ニーズへの対応
野球場の進化に学ぶ
複合ワンストップ体験の提供
1.高度化する生活者ニーズへの対応
ミュージアム「変革」の起点は、「西洋・近代・名画偏重」のブロックバスター展に頼らない「日常使い運営」にあります。
「日常使い」とは、「何となく(遊びに)行きたくなる場所」になることですが、その前提として、生活者が「楽しみ体験に欲張り」になり、「求める質と量が向上」していると、いう認識が重要です。
ワザワザ訪れ、そこで時間を過ごすなら、「一つの体験だけでなく、複数体験を楽しみたい」、いわゆる「〇〇できる〇〇」という複合ワンストップ体験施設が、求められているのです。
複合ワンストップ体験に、有効なのが「多機能性」「滞留性」、そして「開放性」になります。
2.野球場の進化に学ぶ
昨年開業した「北海道日本ハムファイターズ」の「北海道ポールパークFビレッジ」が注目を集めています。
32haの敷地に、開閉式球場、温泉・サウナ施設、宿泊施設、クラフトビール醸造所に加えて、子どもの遊び場やグランピング施設、農業体験施設、分譲マンションなどが建設され、「ひとつの街づくり」になっています。
北海道の事例は、特別かもしれませんが、「野球観戦」だけに特化していれば良かった球場が、横浜や広島、福岡をはじめ、飲食メニューに力を入れたり、独自のクラフトビールを醸造したり、ミュージアムを併設したり、子供の遊び場などを備え、「多機能」な「ボールパーク」として整備されることが、主流になりつつあります。
もちろん「コアコンテンツとしての野球」も重要ですが、様々な機能を整備することで、「ライトなファン」を集めたり、ナイター観戦なのに、昼頃から訪れ楽しめる「滞留性」を備え流ようになっています。
さらには、部分的に施設を「開放」することで、試合のない時や、チケット無しでも利用できるようにして、日常的な来場(=習慣化)を促そうとしています。
3.複合ワンストップ体験の提供
日常生活における基本的・機能的な行動は、ほとんどがネット対応できるようになり、「ワザワザ訪れる価値」が問われるようになっています。
企業のオフィスも「ワザワザ出社する価値」への対応が迫られる時代です。
「ワザワザ訪れるのなら、少なくとも2〜3時間、できれば半日程度は楽しみたい」という滞留性が基本ニーズになります。
ミュージアムにおいても、「コアとなる感動体験として何を提供できるか?」に加えて、鑑賞前の期待・高揚感の演出、鑑賞中の快適性の確保、鑑賞後の余韻を楽しめる飲食サービス、グッズ購入による感動の持ち帰りなどを含めた、複合ワンストップ体験を提供する必要があると考えます。
Comments