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現状と課題 ライブミュージアム ⑤

  • 2024年8月21日
  • 読了時間: 3分

【内容】

  1. 位置付けのアップデート

  2. 展示スタンスのアップデート

  3. 体験スタンスのアップデート

  4. 役割分担のアップデート

  5. 街まるごとハリーポッター

 

 

日本と海外のライブミュージアムを比較して感じたことなどをもとにして、課題を整理します。

前提として、欧米の歴史あるホールは、ほぼ毎日公演が行われ日常的に利用されていたり、壮麗な建築そのものが見学ツアーの対象としての価値を持っていたり、という決定的な違いがありますが、その上でライブミュージアムを計画する上での課題を整理します。

 

1.位置付けのアップデート

日本のライブミュージアムは、東京文化会館の資料館のように上層階にあり、特定目的の調べ物など、関係者の利用しか想定されていないようです。

単独での集客を想定されていない「規模」及び「立地」で計画されています。

ホールや劇場に付帯した研究施設としてではなく、日常的な賑わいを呼び込む施設としてライブミュージアムを位置付け、それに相応しい規模と立地などを根本的にアップデートさせる必要があると考えます。

 

2.展示スタンスのアップデート

古賀政男音楽博物館や早稲田演劇博物館では、古賀政男や坪内逍遥の書斎などのプライベートスペースが再現されています。

ミュージアムですから、「どんな人が、どんな苦労をして、偉業を成し遂げたのか?」のミクロな苦労話ではなく、文化史としての歴史のマクロな位置づけの中で、「どのような貢献・変革を成し遂げたのか?」を展示の柱にしていく必要があるではないでしょうか?

また功労者を顕彰した「殿堂」は、受賞者の誇りと施設の品格を高める役割はありますが、鑑賞者にそれ以上の情報を与えるものでもないので、ほどほどにすべきだと考えます。

俯瞰的な視野で、関連分野の歴史と文脈を語り、「エポック」として展示物を見せるような編集力が求められると思います。

 

3.体験スタンスのアップデート

ライブミュージアムにおける「体験」というと、成り切りでステージに上がれたり、カラオケで CD制作ができたり、といったプログラムが思い浮かびますが、ノリの良い欧米人と異なり、日本ではこの手のプログラムの利用率は低いようです。

せいぜいが「顔抜きのフォトスポット」で写真を撮る程度の、恥ずかしがり屋の日本人に対応した体験提供の工夫が必要だと思います。

 

4.役割分担のアップデート

ライブエンタテイメントの特徴は、前述の通り「全感覚性」と「ストーリー性」で、これを展示物として再現することは非常に難しいと考えます。

ですから、ライブエンタメの感動や興奮の再現に注力するのではなく、鑑賞への期待を高める予備知識の提供や、感動の余韻を味わえるフォロー情報の提示など、公演部分とリンクしてこれを補完する役割分担のアップデートが有効だと考えます。

 

5.街まるごとハリーポッター

赤坂サカスの劇場では「ハリーポッターと呪いの子」が観客動員数100万人を超え、ロングランで上演されています。

特筆すべきは、公演に連動したハリーポッター関連のショップが表通りから奥まった劇場の中だけでなく、赤坂サカス一帯にテーマカフェやテーマショップとして点在している事です。

さらに沿道や大階段も、テーマに沿った演出が施されており、「街まるごとハリーポッター・ワールド」の様相を呈しています。

公演に足を運ぶ人以外にも、テーマカフェやショップを楽しむ人たちや、街中に施された演出・アイコン前で撮影し、SNS発信している人たちでいつも賑わっています。

プロ野球のスタジアムでいう「ソフト層の開拓」に当たるのではないでしょうか。

シアター系文化施設のコンテンツを、街全体に広げ、その一部としてライブミュージアムを位置付けることが有効だと考えます。

 
 
 

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