top of page

現代都市の質感:「身体ルネサンス」の街づくり ④

2023年1月18日
読了時間: 3分

【内容】

  1. 鈍った五感をリフレッシュ

  2. 触覚の複合性

  3. 質感が乏しくなった現代都市




1.鈍った五感をリフレッシュ

五感とは、視覚(見る)、聴覚(聴く)、味覚(味わう)、嗅覚(嗅ぐ)、触覚(皮膚で感じる)の5つの感覚を指します。

動物が外界の情報や生命を脅かす危険をキャッチする重要なセンサーであるため、五感で得た情報は、瞬時に脳に送られ、次の指令が瞬時に下されるようになっています。

ところが超・情報社会になり、スマホや街の広告や騒音など情報過剰な環境で過ごす中で、全ての情報をキャッチしていると脳がパンクしてしまうため、知らないうちに五感を鈍感にすることで、それを防いでいるのです。

鈍った五感を刺激してリフレッシュするには、下記のような方法があります。

  1. 視覚:視覚は五感の情報量の80%を占めている感覚です。文字情報ではなく、空を見上げたり、本能の脳を刺激することが有効です。

  2. 聴覚:虫の音や芝生を踏みしめる音などの控えめな音を感じることが有効です。

  3. 味覚:旬の食材を取り入れ、舌で季節感を感じることが大切です。

  4. 嗅覚:好きなアロマや季節の香りを感じることが、脳をリラックスさせます。

  5. 触覚:肌に手を当てるとそれだけで、気持ちよさに繋がります。


2.触覚の複合性

上記の五感のうち、触覚を除く感覚器官は、顔に有ります。

移動できるようになり、捕食や危険回避に有利な場所(=顔)に感覚器官が集まり、その近くの脳が発達したと言われています。

その意味で、触覚は他に比べて、より古く、より本質的な感覚と言えます。他の感覚と異なり、自分の中に生まれたパーソナルな感覚として、情動に作用するからです。

例えば美しい紅葉を見ても、キレイと感じる作用が自分の中で起こるわけでは有りませんが、ペットを撫でると気分が落ち着きます。そして次第に、見るだけでも「ふわふわ」「もこもこ」など癒されるようになります。

これは触覚と視覚が刺激し合い、脳で感じるようになるからで、触覚には、情動を刺激する要素があるのだと言われます。身体感覚に密接に関わる「触覚」は、視覚や聴覚を補完して、様々な情動を作り出す基盤になっているのです。


3.質感が乏しくなった現代都市

「人間らしく」生きるには、冒頭に挙げた五感、特に重要な触覚への刺激が、リフレッシュだけではなく、継続する仕組みが不可欠なのです。

日本語は「オノマトペ」言葉が非常に多い言語で、4000―5000語もあります。そして本来は「じょりじょり、けばけば、ちくちく、もちもち、ふにゃふにゃ」など触覚的な質感表現も非常に豊富に持っていたのです。

ところが近年の都市開発では、「ツルツル ピカピカ」の建物ばかりになり、すっかり質感が失われてしまいました。

上記のように触覚との複合化で豊かな情動を作り出し、その蓄積が視覚的に、あるものだけでなく、触覚を通して無いものや繋がりを誘発するのですが、その手掛かりがなくなりつつあります。

視覚的にあるモノ・ネット検索できる知識と、身体的に実践・知覚・学習して得られた知見との間には、情報量で大きな差があります。

現代都市には、この触覚を刺激する質感が、圧倒的に乏しくなっているのではないでしょうか?

 
 
 

最新記事

すべて表示
第10章 参加デザインが変える未来 参加デザイン ⑩

【内容】 1.集客ビジネスは、新しい時代へ向かう 2.参加デザインは、あらゆる分野へ広がる 3.人が集まる街から、人が育つ街へ 1.集客ビジネスは、新しい時代へ向かう 本シリーズでは、「参加デザイン」という新しい設計思想について考えてきました。 人口減少や価値観の多様化が進む現在、従来のように人を集めるだけでは、持続的な成長は難しくなっています。 もちろん、魅力的なイベントや施設はこれ

 
 
 
第9章 参加を広げる 参加デザイン ⑨

【内容】 1.最高の広告は「参加者」である 2.「伝えたくなる体験」を設計する 3.集客は「集める」から「育て、広げる」へ 1.最高の広告は「参加者」である これまでの集客ビジネスでは、広告や宣伝が新しいお客様を呼び込む主役でした。 新聞やテレビ、折込チラシ、インターネット広告などを通じて施設やイベントを知り、興味を持った人が来場する。この流れが一般的でした。 もちろん、広告はこれから

 
 
 
第8章 参加を育てる 参加デザイン ⑧

【内容】 1.一度の来場を、一度で終わらせない 2.「次の参加」を設計する 3.目指すのは「長い関係」である 1.一度の来場を、一度で終わらせない 集客ビジネスでは、「新しいお客様を集めること」に多くの労力と費用がかかります。 広告を出し、イベントを企画し、キャンペーンを実施して、ようやく一人のお客様に来場していただくことができます。 しかし、その方が二度と訪れなければ、また最初から同じ努

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page