top of page

次世代医療モールの時代④ 第一世代医療モールの限界

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2022年4月1日
  • 読了時間: 2分

このようにして普及してきた医療モールですが、その商圏人口は20万人(田中敦氏)といわれ、様々な事業者による医療モールの開発とともに、次第に駅周辺での競合などの問題が顕在化しています。

これまで都心型医療モールは、商圏やポジショニングの優位性によって順調な集客につながり、問題が表面化しなかったのですが、医療モールの構造的な課題が浮かび上がって来たと言えます。

具体的には下記の2点が挙げられます。

  1. 患者数の減少に伴い、患者を取り合い、囲みこむ傾向に陥り、「紹介→専門特化→質の高い医療サービス」という好循環が崩壊する。

  2. 出身大学による派閥が強かったり、地方大学出身者を軽視する医学会の悪弊が、医療モール内に持ちこまれ、人間関係がギクシャクする。

医療モールは元々異なる開業医が集合する施設であり、統合的なマネジメントが難しい業態です。医療行為は高い医療情報を持つ医師と、患者との間に「情報の非対称性の大きさ」があることは以前から指摘されて来ました。病気や症状は曖昧で、この曖昧な状況の患者について個人の知見やスキルだけではなく、「高い専門性を持つ医師が共同して診療にあたる」という医療モールの本来のメリットが、逆に作用する状況になっているのです。

都心型医療モールの増加・競合化を踏まえて「クリニックを取り敢えず集めればなんとかなる」と言う、医療モール第一世代の限界と言えます。

医療モールにも「質」が問われる時代です。


 
 
 

最新記事

すべて表示
都市の拡大と分断 「関わり資本」による都市再生 ②

【内容】 第1章 歴史と生活が息づく「旧市街」の誇り 第2章 新市街の台頭と「都市の分断」 第3章 郊外化と「三重の分断」     第1章 歴史と生活が息づく「旧市街」の誇り 日本の多くの地方都市は、城や寺社を核として発展してきた旧市街を起点としています。...

 
 
 
人口減少時代の都市再生 「関わり資本」よる都市再生 ①

【内容】 第1章 新潟市における都市再生の挑戦:「にいがた2km」構想とは 第2章 展望:経済・文化・市民参加による都市の再構築 第3章 人口減少時代の都市再生     第1章 新潟市における都市再生の挑戦:「にいがた2km」構想とは...

 
 
 
Jカルチャーコンプレクスの未来 Jカルチャーコンプレクス ⑩

【内容】 ファッションビルの限界と未来型への進化方向 未来型ファッションビルの施設構成と運営体制 Jカルチャーコンプレクスがもたらす日本社会の未来     1.ファッションビルの限界と未来型への進化方向 近年、従来型ファッションビルは、大きな曲がり角を迎えているといえます。...

 
 
 

Kommentare


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page