検索

次世代の都市評価指標③ 幸せ実感を計測できる時代

更新日:2021年10月18日

FIACS部会セミナーで矢野和男さんに登壇いただきました。矢野さんは(株)ハピネス・プラネット CEO兼日立製作所フェローで、慶應義塾大学の前野隆司教授とともに、日本の幸福学おけるトップランナーです。従来の精神病理を中心とした研究から、人が幸福になる為の研究にシフトさせ体系化した「ポジティブ心理学」の権威である米クレアモント大学のチクセントミハイ教授達と共同研究を進めてきました。「幸福とは“状態・ゴール”を指すのではなく、“行為・姿勢”として捉えるべきである。そして行為・姿勢は訓練によって改善できる」というポジティブ心理学の定義をさらに進め、人が幸福な状態は「会話中の共鳴行動」として現れ、スマホなどを活用すれば行動データとして計測可能であることを突き止めたのです。

1000万人日の膨大なデータをもとに、家族・お金・趣味など手段としての幸せは人それぞれで多様であるが、「生化学現象としての幸せは人類共通」であり、その生化学的な兆候として外から観測可能なシグナルが「身体の無意識な動き(=会話中の共鳴行動)」であることを突き止めました。この行動に裏付けられた幸福な姿勢(=前向きな心)で取り組む事が、生産性の向上につながり、仕事もうまく行き健康な状態になるという相関関係も研究成果から明らかになっています。

これらの研究成果は世界的に認められ、「人間中心の IoT技術の開発と実用化に関するリーダーシップ」に対して世界最大の学会 IEEEより「2020 IEEE Frederik Phillips Award」を受賞しました。

「幸せ実感は会話における共鳴行動としてスマホによって計測できる」と言う研究成果は、街づくりにおける重要な評価指標として活用できると考えます。アンケートなどの主観的でばらつきのある定性データよりも、正確に街の幸せ実感が計測・定量化できるのではないでしょうか。そして「幸せ実感=生産性向上」と言う研究成果に活かせば、街づくりの効果を街のユーザーの生産性向上という企業価値などの経済的な指数に変換することが、可能になるのでは無いでしょうか。

最新記事

すべて表示

都市開発において当然ですが「建築のあり方」は特に大切です。 ですから設計コンセプトの手がかりとなる「企画・構想(開発)コンセプト」を明確に示す必要があるのですが、逆の流れになっているのが現状ではないでしょうか。 開発プロジェクトは「取り敢えずボリュームスタディしてみる」と称して主要用途を容積率一杯に作った計画からスタートします。何度か、このボリュームスタディを目にしている内に、プロジェクトチーム内

私たちは、コンセプトの抽出にあたって、共創ワークが不可欠だと考えます。共創ワークとは、プログラムに沿った関係者とのグループディスカッションを指します。 共創ワークでコンセプトそのものは抽出できませんが、その前提となる「目指すべきゴール」「現状と事業条件」などの共有を通じて「課題」が明確になります。それに加えて「地域の潜在性・自分達の DNA」の再認識プロセスが非常に重要です。 これまでのように、マ

コンセプトは前述のように思いつきのキーワードでは、関係者内で認識が共有されません。従来のように市場分析で得られたポジショニング提示すれば良い訳でもないため、そのコンセプトに至る方法論を、明確にしておく必要があると考えます。 そこで私たちはコンセプトの位置付けを明確にし、その抽出方法の方程式化を試みました。 まず全ての開発プロジェクトは、課題解決に繋がるという前提で式を作ります。すなわち「A:課題抽