FIACS部会にKDDIグループの山本隆広氏、小野智弘氏に登壇頂き、通信事業者のデータ技術の現状と展望をお聞きしました。山本氏からはGPSデータは10Mメッシュ、最速2分で提供可能だという現状を説明されました。さらにその行動特性から居住者・勤務者・来街者などの属性把握ができるという事でした。従来のアンケートやカウント調査に代わって、時間別・場所別にお客の性別・年齢がきめ細かく分かるだけでなく、滞留時間や回遊状況まで把握できるわけです。小野氏からは行動データに家庭電気量や検索データを組み合わせれば、家族属性やライフイベントの推定が可能だという技術レベルが報告ありました。さらに運転行動やWeb閲覧履歴を活用すれば Big Five分類などの性格推定も可能だという事です。外向性や知的好奇心などの性格は消費嗜好や行動とも連動し、これに対応したコミュニケーションによって20%弱の購買率アップと言う研究実績もあるそうです。同様に対象特性に適合したコミュニケーション使い分けによる行動変容も視野に入れていると言います。
データ活用は調査・分析の段階から最適コミュニケーションを実現する段階に入ったと言えます。将来的には場所や街との相性をマッチングすることも可能になるかもしれません。
このように進化の著しい通信事業者データを都市評価指標に積極的に活用したいと考えます。現状でも先般の矢野氏の研究の基づく「会話中の共鳴行動」について、スマホ・データで計測すれば幸せ実感として指数化が可能になります。さらに「幸せ実感」を継続・拡張する要素としてA:多様、B:変化、C:交流の3分野を想定します。多様な人・コト・モノが混在し、時間や季節の変化に対応しながら、交流していく事によって、脳が刺激され前向きな心(幸せ実感)が育まれると考えます。この3つの継続・拡張要素の内、年齢や性別・目的など多様な人が居ることの確認や、回遊行動や交流行動が、スマホ・データから確認定量化できるのです。従来のアンケート調査では、設問による意図的な誘導や 日本人独特の自己肯定感の低さが課題になっていました。スマホなどの行動データの活用による幸せ実感やその継続要素の計測は、「幸せ度合いのアンケート調査」よりも納得性の高い指標になるのではないでしょうか。
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