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次世代の沿線価値 ⑧ 卒・旅客思考:プチ都心キャラバン

  • 2022年8月12日
  • 読了時間: 2分

これまでの都心通勤は、無駄とストレスが多かった反面、郊外に住みながらも都心とを日常的に行き来できていたので、食や音楽、ファッションなど都心の文化トレンドが日常生活に組み込まれていました。リモートライフによって時間的な余裕は生まれましたが、行動半径が小さくなり、どうしても文化トレンドには疎くなってしまいます。スイーツに代表される食文化の洗練と進化は、都心ならではの現象といえます。都心のデパ地下グルメや白金や広尾など都心お洒落タウンで、調理されたパンやスイーツ、総菜などが、その日のうちに郊外の駅まで移動販売しに来てくれると素敵です。保存が効くものとは大きく味が異なるこれらの商品で、いつものスーパーやコンビニとは異なる「ハレ感」を味わうことが可能になります。もちろん地元だけでは、マーケットも限られますので、一箇所に売り場を構えるのではなく、期間限定でキャラバンのように移動していけば、事業として成立するのではないでしょうか。

JR東日本は東北新幹線を活用して、東京で調理した弁当や和菓子などのデパ地下グルメを、秋田の百貨店まで運ぶ「はこビュン」サービスを実験しています。早朝に調理された「なだ万厨房」や「日本橋弁松総本店」といった名店の一品が、昼のピーク時に合わせて秋田の百貨店の特設会場に運び込まれて販売されます。お客の評判は上々で、地方百貨店の集客策としても期待されています。ここまで遠距離でなくても、都心まで来る人が減ったのであれば、人が居るところまで商品を動かすのです。職人や設備まで移動するのは大変ですが、都心の生産力を活用して作った商品を、キャラバン形式で郊外に動かし販売するのであれば、十分可能性があります。交通の結節点である「駅」は物流の結節点としても機能するのです。郊外の駅周辺が期間限定で「白金ウィーク」や「神田ホリディ」というイメージで、郊外の食文化を豊かにしてくれるプチ都心に変身するのです。プチ都心を体験できるサービスが郊外駅で定着してくれば、食だけではなく他分野・サービスに拡大したり、体験消費だけでなく、伝承・展開していく機会を提供してはどうでしょうか。以前東急不動産の役員が「田園都市線沿線は、全てがファミリー対応になっていて、シングルには居心地が悪い。ただ駅空間だけは、渋谷の風を感じることができる」といっていました。リモートライフだからこそ、都心の風を感じる場所として、駅の目的地化が可能だと考えます。


 
 
 

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