top of page

様々なアクティベーション展開:文化施設のtoB戦略 ⑤

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2023年6月26日
  • 読了時間: 3分

【内容】

1.アクティベーション下手な日本企業

2.様々なアクティベーション事例

3.アクティベーション展開の必要性



1.アクティベーション下手な日本企業

スポンサーアクティベーションとは、スポンサーの権利を有効活用する方策のことです。

チームのロゴが使える、選手の肖像権をCMに活用できる、看板にロゴが掲出される、などが挙げられます。

スポンサー権を保持するだけでは価値を生まないので、如何に効果的に活用し、企業価値を高めるのか?に知恵を絞らなければならないのですが、どうも日本企業は下手なようです。

権利活用予算の欧米企業との比較した研究では、権利料:活用料との比率が、海外企業は1.0

:2.2なのに対して、日本企業は1.0:0.4に留まり、実に5倍以上の開きがあります。

スポンサーになる事が「ゴール」ではなく、「スタート」なのだという認識が必要ではないでしょうか。


2.様々なアクティベーション事例

①英国タイヤメーカーのダバンディ社は、サッカープレミアリーグのエバートンのスポンサーとして、同チーム本拠地のスタジアムに、海外ディーラーを集めて国際カンファレンスを開き、認知度と好感度を高めました。

②飲料メーカーのエビアン社は、2018年のテニス全米オープンのプレイベント会場で、ハッシュタグ付きで SNS に写真投稿すると、抽選で決勝戦の観戦チケットが当たるキャンペーンを展開し話題になりました。

③住宅リフォーム業のロウズ社は、2020年のNFLスーパーボウルのプレイベントで、 NFL全32チームのホームタウンやスタジアムをモチーフにしたブース型モデルルームを制作し、

「Bring it Home(家にNFL の思い出を持ち帰ろう)」というキャンペーンを展開しました。

④ペットフードのピュリナ社は、2023年メジャーリーグサッカーに新規参入した地元セントルイス・シティSCのスタジアムで、ペット同伴での試合観戦やペットの里親募集を企画し、「リーグで最もペットに優しいスタジアム」をアピールしています。


このように海外では、単にユニフォームや看板にロゴを露出させるだけでなく、スポンサー対象の知名度などのリソースに、自社の特徴や強みを掛け合わせたキャンペーンを展開しています。


3.アクティベーション展開の必要性

これまで見てきたように、スポンサーシップは、様々に活用して初めて効果を実感できるようです。

少なくとも下記のような活用方策が想定されます。

①企業ロゴの掲出によるブランディング

②接待・カンファレンスなどのセールスマーケティング

③福利厚生などのインナーマーケティング

④新規商品・サービス開発などのR&D

⑤社会や地域貢献


日本の場合は集客施設におけるスポンサードでも、①ブランディングや⑤地域貢献としてのスポンサード活用に留まっているのでは無いでしょうか?

②セールスマーケティング、③福利厚生、③ R&D などを想定した施設整備とプログラム企画が必要だと考えます。

 
 
 

最新記事

すべて表示
基本的な視点と三つの戦略 AI共創オフィス ⑥

【内容】 第1章 AIと分散ワークがもたらす働き方の地殻変動 第2章 AI時代の競争力を支える「企業文化」という内的OS 第3章 AI×文化の共創拠点としての企業オフィスとサテライトオフィスの連携     第1章 AIと分散ワークがもたらす働き方の地殻変動 生成AIの進化とリモートワークの定着により、私たちの「働く場所」の概念は大きく変わりました。 業務の多くはオンラインで完結でき、駅ナカや自宅、

 
 
 
AI時代における企業オフィスの課題と方向性 AI共創オフィス ⑤

【内容】 第1章 AIが生む「標準答案社会」と思考の軽量化 第2章 意思決定の“軽さ”がもたらす成長の喪失 第3章 “唯一無二”の判断軸を生むのは、企業文化である     第1章 AIが生む「標準答案社会」と思考の軽量化 現代は、AIの進化とリモートワークの普及によって、私たちの意思決定のあり方が大きく変化しています。 とりわけAIは、「優秀な常識人の標準答案」とも言うべき、整合的で倫理的かつ網羅

 
 
 
オフィス研究の変遷 AI共創オフィス ④

【内容】 第1章:管理のためのオフィス ― 生産性と効率の時代(1900〜1950年代) 第2章:人間中心のオフィス ― 働きがいと組織文化の時代(1960〜1980年代) 第3章:知識と多様性の時代 ― IT革命と新しい働き方(1990〜2010年代)     ここでオフィスの進化を先導してきた「オフィス研究」の変遷について、お整理しておきます。 第1章:管理のためのオフィス ― 生産性と効率の

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page