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日本酒をめぐる動向: SAKE UP ①

【内容】

  1. 輸出実績が過去最高を記録

  2. 減少が止まらない国内消費

  3. 普通酒と特定名称酒との市場二分化





1.輸出実績が過去最高を記録

全国約1700の酒蔵が所属する日本酒造組合中央会は、2022年の日本酒輸出量が、474.9億円に達し、13年連続で前年を上回り、数量も35,895㎘と過去最高になったと発表しました。

輸出先では、1位中国、2位アメリカ、3位香港で、上位三者で合わせて67.8%を占めています。

また1ℓあたりの平均輸出価格は、10年前から2倍以上上昇し、高価格帯のプレミアムな日本酒が、海外輸出のトレンドになっています。

海外輸出が好調な背景には、世界的な日本食ブームがあります。

海外における日本食レストラン数は、約15万店(アジア10万店、北米3万店、欧州1.2万店、中南米0.6万店など:2019年)となり、2017年の12万店に比べて、2年で3割増加しています。

また日本を訪れた外国人観光客が、日本酒の美味しさに触れ、自国で飲酒する人も増えたといいます。

海外における日本食レストラン、及びインバウンドの増加に連れ、日本酒の輸出量が、順調に増えているという相関関係です。


2.減少が止まらない国内消費

一方 国内での売り上げの落ち込みは歴然で、国内販売量は、1970年(126万㎘)から2020年(44万㎘)の間に、75%減少しています。

1970年には3500ヶ所余りあった酒蔵も、2020年には1700ヶ所と半減しています。

人口減少という社会動向を踏まえると、国内消費の減少は、今後一層進行するという前提を認識すべきです。


3.普通酒と特定名称酒との市場二分化

近年の傾向として、消費者ニーズに応える多様な日本酒商品の提供が、効果を上げています。

純米酒、吟醸酒、純米吟醸酒、といった特定名称酒は、全体の約4割を占め、17万㎘と持ち直しの兆しを見せています。

日本酒業界は、伏見(京都)や灘(兵庫)の大規模な普通酒メーカーが、市場成熟化の中で苦戦する一方で、全国に点在する中小醸造所の特定名称酒が、順調な伸びを見せつつあると言う「市場の二分化」が起きているといえます。

日本酒は、奈良時代を起源にして、非常に古い歴史を持っています。

かつては神事の際に限られて、飲まれていましたが、江戸時代に入って大量生産が可能になると、庶民が日常でも愛飲できるようになります。

そして現代は特定名称酒が、嗜好品として好まれるようになっているのです。

この時代動向を踏まえて日本酒の価値向上を検討する必要があると考えます。

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