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日本におけるサードプレイス:日本型サードプレイスの提案 ③

【内容】

  1. 日本にも有ったサードプレイス的空間

  2. 日本的なサードプレイスの特徴



1.日本にも有ったサードプレイス的空間

日本にも「家でも会社でもない居場所」という意味での、サードプレイス的な空間はありました。いくつかを例示します。

  1. 居酒屋:日本文化研究者のマイク・モラスキーが、日本におけるサードプレイスの代表例として「赤提灯や大衆酒場のような庶民的な居酒屋」を挙げているように、カウンターが一種の共有空間となり、店主や周囲の会話が共有され、特に常連同士なら自然と他者の会話に加わる状況が見られます。

  2. 喫茶店:元々日本の喫茶店は、時間を気にせず長居できる場所でした。「ルノアール」に代表される日本的な喫茶店では、コーヒー1杯の料金に、その場所の地価や賃料が、織り込まれていたのです。名曲喫茶やジャズ喫茶など、独自の細分化を遂げたお店もありました。

  3. スナック:全国に10万軒はあると言われるスナックは、最もサードプレイス的な場所ではないでしょうか。馴染みの男性客が、カウンター越しにママに身の上話をしているイメージがあり、ちょっと前までは中高年男性の天国でした。今は交流の場を求める若者が集まり、お酒を飲みながら新規ビジネスの話をする場面も増えた様です。

  4. 図書館:東京都の千代田区や大田区の図書館では、ビジネス書やビジネス雑誌のバックナンバーが充実し、Wifiやパソコン対応も可能なため、中小企業の経営者やビジネスパーソンの利用が広まっていると言います。

  5. コワーキングスペース:フリーランスやクリエイター、起業・副業の場として活用され、色々なタイプの利用者が集まることで、様々な交流が生まれています。そこでの出会いが新たなビジネスにつながる場合もある様です。


2.的なサードプレイスの特徴

広い意味では、知人へのヒヤリングでも、例示されていますが、スポーツジムや公園もサードプレイスと言えます。

最近では「サウナ」も、同様に認知されだしています。

お店以外では、子育てサークル、習い事、読書会、ボランティア活動、ランニングといった人と交流する集まりもサードプレイスとしての役目を果たしています。

日本の場合は、海外の人ほど「見知らぬ人とのコミュニケーション」に対して、積極的ではありません。

「対面交流」よりも、どちらかといえば「店主による紹介型の交流」や「共同で作業をしながらの交流」、或いは「一人でゆっくり過ごせる場所」などの方が、一般的なサードプレイスかもしれません。

スターバックス・コーヒーも、日本上陸当初は、本国同様に会話や交流を楽しむスタイルを採用していました。

しかし若者には指示されたものの、一人の空間を欲する中高年男性には不評だったため、

欧米にはないマイスペース型併用の店づくりを模索し、幅広い支持を得るに至っています。


超高齢社会化とコロナ禍を踏まえ、ますますその存在感が高まりそうな、サードプレイスですが、日本人のコミュニケーション特性に対応した空間・サービスが必要だと考えます。

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