【内容】
1.コミュニティの重要性
2.テーマ・コミュニティとの連携価値
3.コミュニティマネジャーとしての接客業
1.コミュニティの重要性
生活用品など一通り揃ってしまい、特に欲しいものもないという時代動向を踏まえて、コミュニティを活用して、誰かに会える、誰かの為の応援消費、参画消費がフックになる、というコミュニティ・マーケティングの手法が注目されています。
特定テーマのコミュニティの価値として、次の4つが挙げられます。
経済価値:コミュニティ客は値引きなどしなくても、買い続けてくれるため、継続的な利益貢献に繋がります。
顧客理解価値:コミュニティの行動や意向を把握することで、商品開発やサービス改善について示唆を得ることができます。
共創価値:コミュニティにおけるディスカッションや協働は、これまで予想もしなかった新しい価値の発見につながります。その延長としてプロモーション活動にもつながります。
影響価値:コミュニティ客は口頭で家族や友人への推奨活動を行います。
また SNSのコンテンツとしてコミュニティ客の存在や声を取り上げることが、見込み客の信用を得る事につながります。
このようにマーケティング価値の高いテーマ・コミュニティですが、その形成には、非常に手間と時間がかかります。
接客を通じてテーマ・コミュニティが形成されていると、これに参画したいスポンサー企業が現れ、価値が顕在化できるのではないでしょうか。
2.テーマ・コミュニティとの連携価値
企業がスポンサードする狙いは、コミュニティとの連携価値にあります。
【①認知→②共感→③検討→④購入】というマーケティング構造で言えば、一般広告が一方的に発信され、【①認知】からスタートするのに対して、スポンサード広告は、対象を「自分ごと化」しているコミュニティと共に、支援する立場で発信されるため、【②共感】にリーチできるというアドバンテージを持っています。
因みに、東京ディズニーリゾートは3000万人で470億円、キッザニアは80万人で18億円、PayPayドームは300万人で140億円のスポンサー収入が推定されます。
それぞれ1人当たりの広告単価は「460円」、「670円」、「1400円」の試算になり、一般的な屋外広告想定単価「15円」の30倍〜90倍に相当するのです。(1日50万人=年間1.8億人が行き交う、渋谷スクランブル交差点の年間広告価値は21億円)
もちろん単純な比較は無理があるかもしれませんが、一般の通行人への広告露出とコミュニティへの広告露出の訴求価値の違いを考える参考数値になるのではないでしょうか。
さらに SNS時代になり、クチコミ効果が重視されるようになると、テーマ・コミュニティとの連携価値はさらに重要な要素になります。
3.コミュニティ・マネジャーとしての接客業
テーマ・コミュニティは、下記のプロセスで、形成されます。
①初めは少人数でスタート
②コミュニティの目的・テーマをはっきりさせる
③参加者に当事者意識を持たせる
④参加者同士が交流できる仕組みづくり
⑤新規メンバーを大切にする
⑥短期の成果追求、コミュニティ内で稼ぐなどはご法度
インフルエンサーに近いかもしれませんが、スポンサー企業との距離感についても、テーマ・コミュニティを「マーケット・販売先」と捉えるのではなく、「パートナー・共創先」という位置付けで考える事が重要です。
「ファンベース」を提唱する佐藤尚之氏によると、コミュニティ・マーケティングを進める上で大切な事は「情緒価値を伸ばすこと」だとされています。
「機能価値はコピーできるけれど、情緒価値はコピーできない」というわけです。
接客業のゴールの一つとして、テーマ・コミュニティのマネジャーを想定してはどうでしょうか。
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