【内容】
共助力育成の難しさ
ライトな防災という視点
ライトな防災を通じた共助力育成
1.共助力育成の難しさ
「共助力」は、コミュニティやソーシャルキャピタルと相関関係があるとされ、「地区防災計画制度」に関する研究では、共助力を高める為に、下記のような留意点が挙げられています。
①地域コミュニティが主体になるボトムアップの活動
②子供や若者を含む、幅広い参加者
③献身的な住民リーダーの存在
④新旧住民の交流
⑤日常性からの防災意識へ
⑥行政との連携
もちろん重要なことばかりですが、わかっているけれど、難しいことばかりですよね。
「防災」の必要性を頭では理解していても、なかなか実行できないのです。
「ダイエット」と同じで、「楽しくない事」を継続することは難しく、個人ではなく、これを集団で継続する事は尚更大変です。
2.ライトな防災をいう視点
プロ野球横浜ベイスターズの本拠地である横浜スタジアムの観客動員数は、117万人(2012年)から228万人(2019年)に大幅に増やして話題になりました。
「アクティブ・サラリーマンをイメージターゲット」にして、プロ野球ファンではないライトな観客づくりを目指しました。
会社帰りに映画でも見に行く、ライトな感覚で野球観戦を楽しんで貰うために、球場内の飲食店のメニューに力を入れたり、球場周辺でパブリックビューイングを楽しめるビアガーデンを開設したりして、とにかく「試合観戦以外で、スタジアムと触れ合う機会を増やした」成果だと言えます。
シン防災まちづくりにも同じようなライトな防災スタンスが必要です。
国土地理院が提供するハザード情報は、崖崩れや浸水確率などについて、別々のデータを組み合わせる必要があります。
ウエザーニュースを活用することで、自分の街のハザード情報と、ピンポイントでの風雨情報が把握可能になります。
六本ヒルズのように、巨大な防災備蓄倉庫や非常用発電機は、用意できなくても、ローリングストック(食料品備蓄)に協力してくれる飲食店に対して、会員になって支えたり、太陽光連動のEVステーションを設けたりすることで、食料や電気について、地域での最低限の防災対応が可能になります。
3.ライトな防災を通じた共助力の向上
そして、このようなライトな実績づくりのプロセスで、街の人同士の繋がりが生まれます。街の中を歩き回る人の数が増え、あちこちに立ち寄れる場所を増やしていくことが、回遊・交流を通じて、ソーシャルキャピタルの向上に繋がります。
できることからひとつずつ「安心」を積み上げるプロセスで、共助力を高めていってはどうでしょうか。
「健康」まちづくりと同様に、「防災」まちづくりに必要なのは、「防災」を目的にした合意形成ではなく、「防災」にも役に立つというスタンスです
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