【内容】
1.イノベーションを求められる企業
2.アート思考への期待
3.イノベーション・プレイスとしてtoB戦略
1.イノベーションを求められる企業
絶え間ない技術革新は、企業が提供する商品・サービスのライフサイクルの短期化を加速させています。それに伴い企業は、既存事業だけでは成長を維持できず、常に新規事業の開拓を迫られるようになりました。
「日本企業のイノベーション実態調査(2016年:デロイト)」によれば、日本企業の売り上げに占める「新規領域」の割合は、2013年の6.6%から2016年には14.1%と倍増しています。
また企業の設備投資の割合も、既存領域と新規領域(周辺領域+革新領域)とは、全業種平均で75%対25%となり、業種別にばらつきはあるもの一定の投資割合を占めるようになっています。
業種に限らず企業は、常にイノベーションの機会を求められているのです。
2.アート思考への期待
このようなイノベーション機会を検討する際に、注目をあつめているのが、「アート思考」です。
アート思考については、明治大学サービス創新研究所において、「アーティストが持つ創造声に着目し、アーティストがアートを生み出す過程で用いる特有の認知的活動を指す」と定義されています。
ロジカル思考の「ある問題に対して、筋道を立てて、矛盾なく解決に結びつける思考法」や、デザイン思考の「自社や自分が視点ではなく、人や社会といった第三者を視点として、人間中心にイノベーションを実現させる方法論」との違いは、課題解決型ではなく、問題設定型にあります。
アート思考の研修では、例えば「実は7点あるゴッホの《ひまわり》を元にして、体系的に比較分析」したり、「フェルメールの《手紙を読む女》を題材にして、自己理解と他者理解の力を養う」などのプログラムが挙げられています。
5,000億円超で推移する研修市場は、時代に対応した新しい思考法を模索しています。
VUCA言われ、不透明感が増すこれからの時代には、ロジカル思考やデザイン思考の課題解決型ではなく、問題設定型のアート思考が、イノベーションを促すのに効果的だと期待されているのが現状です。
3.イノベーション・プレイスとしてのtoB戦略
ミュージアムのコンテンツを題材にして、このようなアート思考の向上プログラムを提供してはどうでしょうか?
その他、劇場を舞台にした「演劇セラピー」も、コミュニケーションスキルの向上に有効だと考えます。
一般的な研修費用で試算すると年間4,000万円〜5,000万円(4〜5万円/人×20人/組×50組/年)の収益が見込めます。
従来のように「こうすれば上手くいく=正解」がなくなり、時間的・空間的に多様な視点から、問題を設定するアート思考が重要になります。
文化資源の保存・研究だけでなく、ビジネスや実社会が求めるイノベーション・プレイスとして活用していくことは、広義の社会教育ニーズに対応するものだと考えます。
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