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方策1 情報による体験アップデート シン文化観光 ⑦

  • 2024年6月12日
  • 読了時間: 4分

【内容】

  1. 文化観光拠点を中心とした文化観光の推進

  2. 地域の文化観光のゲートとしての文化施設

  3. 音声 AR による地域回遊の促進

 

 

1.文化観光拠点を中核とした文化観光の推進

文化観光推進法(文化観光拠点を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律)は、「文化」と「観光」とを両輪にして、地域を活性化させようという政策で、2020年に制定されました。

この政策に沿って、各地で構想が作られています。

大阪市では、「大阪中之島美術館を核とした文化施設の連携構想」が、作られました。

これは「中之島美術館」を中心にして、十箇所もの文化施設が点在する「中之島」の回遊を促そうというものです。

具体的には、企画展に関連してアップサイクルイベントやワークショップなどを開催で集客すると共に、「ナカノシマせんべろ」などのはしご酒イベントを連携開催し、回遊機会を提供しています。

また北九州市でも、「いのちのたび博物館」を中心に、「文化×産業×観光」というコンセプトにしたミュージアムパークを標榜しています。

周辺7箇所の文化観光施設が連携し、石炭と鉄とを中心とした産業から、環境未来都市への転換の軌跡を辿る企画展とともに、八幡の街の変遷を紹介しています。

 

2.地域の文化観光のゲートとしての文化施設

文化観光推進法において、文化観光の拠点施設として位置付けられる美術館や博物館ですが、実際は、「文化施設に集客して、それを回遊させる」という構造に留まっているようです。

様々な企画展によって集客を図ることも重要ですが、地域の人たちを中心とした集合知による「地域学センター」として、地域に関する知見を深度化する仕組みを作り、地域の文化観光のゲートとして機能させてはどうでしょうか。

これまで美術館・博物館は、文化啓蒙施設として、さまざまな公開講座を開催してきました。

それは、学芸員や学識者が、一方的に市民に知識を披露する場でしかありませんでした。

もちろんこのような機会も有効ですが、一歩進めて、市民を含めて「広くヒト・モノ・情報」を集める仕組みを作るのです。

「〇〇博士ちゃん」や「〇〇の達人」のように、特定分野に関しては、その興味と好奇心から、専門家顔負けの「モノ・情報」を備えたヒトがいるものです。

「地域学センター」として、様々な地域文化テーマを設定し、これに関する「ヒト・モノ・情報」を集めることによって、ミュージアムの情報が深度化すると同時に、ミュージアムに関わる人たちが増え、地域における位置付けが高まるのではないでしょうか。

 

3.音声ARによる地域回遊の促進

地域の文化観光のゲートができれば、そこを起点にして文化観光する人たちに回遊してもらえます。

音声 AR は、文化観光を支えるプラットフォームとして、非常に有効なのですが、アプリをダウンロードして起動させる「キッカケづくり」が、思いのほか難しいのです。

この「キッカケづくり」の場として、イヤホンによる作品解説に慣れている美術館や博物館を、音声 ARサービスの起点に相応しいと考えます。

美術館や博物館で、「地域学センター」として、街の歴史や特徴などの「文脈ガイダンス」を受け、そのまま街歩き、文化体験に出かけるのです。

音声 ARサービスを受けながら、街の歴史から店舗・文化施設の案内・解説や、イベント情報などの提供はもちろん、ゲーム性やホラーなどのストーリー性を加えて、街歩きや回遊を促します。

夏の夜に音声ARでの「怪談サービス」などを活用すれば、街歩きがエンタテイメントとして楽しめると思います。

さらに、音声ARサービス「SARF」を開発・運営するエイベックスの中前省一氏によると、「最終的には、YouTubeのようなサービスを目指したい。」と言います。

YouTubeのように、各人が新しいメッセージやコンテンツを発信し、それを特定の場所(ベンチ)に音声 AR で埋め込んでいくのです。

その場所のフォーマルな歴史だけでなく、集合知を活かして、個人的な思い出や、エピソード・見立てアートでも構いません。

場所と季節と自分の気持ちとをかけ合わせて、俳句や川柳、詩歌として、音声 ARで、埋め込まれると、他の人の記憶や人生を追体験することが、可能になります。

ストリートやエリアによって、テーマを決めても面白いかもしれません。

テーマは健康・科学・デザイン・アニメなど、ビジネスから趣味まで多岐にわたって想定できます。

ストリートやエリアごとに一定のテーマ性があると、気分によって選択でき、集客魅力にもつながると考えます。

 
 
 

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