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文化施設事業化のベンチマーク シンコンセッション ⑤

【内容】

  1. 大阪城公園の軌跡

  2. 京都市京セラ美術館の進化

  3. 独自に工夫する水族館・動物園



1.大阪城公園の奇跡

大阪市は、大阪城公園全体の運営を、公募・選定した民間事業者に任せるPMO(Park Management Organization)事業方式で、公園管理費用を賄った上で、3億円前後の納付金(借地料)を受け取ることに成功しています。

PMO事業は、一般的な PFI事業よりも、さらに運営自由度が高く、民間事業者は、ジョーテラス大阪(飲食施設)やクールジャパン・パーク(ライブホール)などの新規施設を開発・運営するほか、様々な有料イベントを開催し、集客力と収益力を高めています。

大阪城公園全体の集客力の向上に伴い、大阪城天守閣への来場者も、PMO事業導入前から大幅に増え(2012年:150万人→2018年:255万人)、大阪城公園は、すっかり大阪観光の目玉の一つになっています。

ここに至るプロセスでは、大阪市が市民利用中心から「国際観光拠点」として、公園の位置付けをアップデートした事、「RED BULL X-Fighters」などのインパクトあるイベントを開催し、実証と実績を積み上げた上で、PMO事業に踏み切った事が特筆されます。

この運営方式は、都市公園に孤立立地していることが多い、ミュージアム変革を検討する上で、非常に参考になるのではないでしょうか。


2.京都市京セラ美術館の進化

京都市美術館は、1933年に開業し、帝冠様式を要する最古の公立美術館です。

京都市東部の岡崎公園にあり、周辺には国立近代美術館や京都ロームシアター(京都会館)、京都市動物園があり、京都における文化ゾーンを形成しています。

京セラによるネーミングライツ(50年50億円)を得て、老朽化への対応と利用性の向上を目指してリニューアルされ、2020年に再オープンしました。

世界的な建築家:青木淳氏により、正面玄関を保存したまま地下エントランスを設けられ、そこから中央ホールを経て、日本庭園に抜ける「無料開放ゾーン」が計画されました。

従来の閉鎖的なイメージを一新し、無料開放ゾーンに沿ってカフェやギャラリー、ミュージアムショップが配置され、「開かれた美術館」として構成されています。

ソフト面では、コレクションの充実とともに、常設展を軸にしたワークショップを開催し、日常利用を促すことで、メンバーシップの拡充を図っています。(個人1700人、法人30社)年間140万人の利用者のうち40万人が展覧会以外の来場者という実績につながっています。

ユニークベニューに対応したMICE 利用による売り上げも1億円を超え、さらに「展覧会、MICE、企業協賛」が三位一体になった運営を拡充させ、事業の安定化を目指しています。

これからのミュージアムの方向性を示していると考えます。


3.独自に工夫する水族館・動物園

ミュージアム運営のベンチマークとして、博物館の一種である「水族館」も参考になると考えます。

日本は「水族館大国」と言われ、全国の150箇所もの水族館があります。

コロナ禍以前の入場者数を見ると、[1位]沖縄美ら海水族館(332万人)、[2位]大阪海遊館(263万人)、[3位]名古屋港水族館(200万人)、[4位]アクアパーク品川(152万人)、[5位]サンシャイン水族館(147万人)と、多くの人を集めています。

もちろん全ての水族館が、大型水槽を備えてジンベイザメを泳がせて集客している訳ではありません。

イルカショーに力を入れたり、空が見える透明な水槽で、ペンギンが飛んでいるよう見せたり、クラゲに特化して、その浮遊感で癒しを演出したり、と水族館ごとに様々な工夫を凝らしています。

同様に動物園でも、パンダに頼らず、それぞれの動物の生態・特徴をクローズアップした「行動展示」で、人気を博している旭山動物園の事例があります。

これらの水族館や動物園の展示の視点や演出方法が、次世代のミュージアムの参考になるのではないでしょうか。


従来のミュージアムの枠に囚われず、運営の視野を広げ、柔軟な位置付けと役割を模索していくことが、変革に繋がるのだと考えます。

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