top of page
検索

文化施設のto B戦略の未来:文化施設のtoB戦略 ⑩

【内容】

1.文化施設と企業活動との連携

2.テレビ番組の事業構造を超えて

3.街の知的サロンの効用



1.文化施設と企業活動との連携

文化系集客施設は、自立運営を迫られ、悪戦苦闘している状況です。

集客イベントを企画しますが、なかなか定着せず、取り敢えず敷地内にカフェやレストランなどの収益施設を誘致するなど、入場料頼りではない、運営方策を模索しています。

一方 企業側も通常のマス広告による「認知」の効果が低減していることは実感しています。

スポーツやエンタメなどのスポンサードを通じて、その競技およびチームや選手のファンとの「共感」を得ようとして、スポンサー料を支払うのですが、まだまだロゴの露出程度の活用に留まっているようです。

企業も新しいマーケティング手法を模索しているのです。

このような状況を踏まえて、今回は文化施設と企業活動との連携について、検討してきました。

文化施設の地域における位置付け、サービス機能、上質な空間資源などを柔軟に見直すことで、可能性が広がることが確認できました。


2.テレビ番組の事業構造を超えて

民間のテレビ放送は、企業のスポンサー料を元にして、コンテンツを制作して提供されています。

同じような仕組みが、文化施設を舞台に展開できれば、テレビが「バラエティ番組」「ビジネス番組」「教養番組」などを組み合わせて集客し、その集客力をもとにスポンサーを獲得していくのと同様の構図が可能になると考えます。

あまり企業寄りになると、「ショッピングチャンネル」のようになり、ファンが離れてしまいますが、企業との共創によってコンテンツを編集・発信するというスタンスは、有効だと考えます。

テレビ番組と異なるのは、一方的に情報を提供・発信するのではなく、地域の知的コミュニティとして、情報を受発信して行くプラットフォーム的な役割だということです。


3.街の知的サロンの効用

行ってみたい旅行先として人気のある日本ですが、地方へ行って、地元の人たちの口から出るのは「ウチの街には、自慢できる物なんかない」という言葉です。

イタリアなど欧米の街の人たちが、「私はシエナの街を愛している」「私が住むリヨンは、最高にイカしてる」「私はナッシュビルを誇りに思う」などと自慢するのとは、対照的です。

もちろん日本人独特の謙遜嗜好もあるのでしょうが、そもそも「街」に対する興味や知識が不足しているのではないでしょうか。

編集者の佐渡島庸平さんが「関心の強さ=コンテンツの質×親近感」だと指摘していました。

コンテンツの質は、身近かになればなる程、関心が沸き、興味・愛着が高まるのではないでしょうか。

文化施設を「街の知的サロン」として再生することの一番の効用は、街の人たちが、「街の学芸員、研究員」になることによって、街の歴史や風土、文化を調べ、発信していく立場と仲間を得ることだと考えます。

街の知的サロンの普及を通じて、日本の街のシビックプライドが向上し、街づくり活動が、継続して行くことを期待したいと思います。

最新記事

すべて表示

今 なぜ「道の駅」なのか? シン道の駅 ①

【内容】 登録件数1200ヵ所を突破したヒット施策 進化する道の駅 「道の駅」のあり方検討     1.登録件数1200ヵ所を突破したヒット施策 郊外の幹線道路をいくと、よく見かけるようになったのが「道の駅」です。 「道の駅」とは一般道路に整備された「高速道路のサービスエリ...

プロジェクト推進の未来 ベクトル・メイク ⑩

【内容】 都市開発プロジェクトの手順 未来に踏み出す 都市開発の成功とは       1.都市開発プロジェクトの手順 都市開発関係の仕事に就いて30年余りになりますが、以前から疑問に思っていたことがあります。 それは「どうして何度も、何度も、計画を作り直す手戻りが起こるのか...

ストーリー化 ベクトル・メイク ⑨

【内容】 ワークショップの熱狂と限界 ストーリーとして組み立てる 企業連携で外圧を活用する     1.ワークショップの熱狂と限界 前述した通り、 ワークショップは、適切なファシリテーションによって、心理的安全性が確保された「前向きな場」が醸成されると、一種の熱気を帯びてき...

Comments


bottom of page