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文化施設の現状  シン・コンセッション ②

  • 2024年2月14日
  • 読了時間: 4分

【内容】

  1. 日本型のミュージアム運営

  2. 公共ホールの三重苦

  3. わざわざ立地、孤立立地

1.日本型のミュージアム運営

ミュージアム(博物館)とは、博物館法において「資料収集・保存」「研究・展示」「教育普及」といった活動を一体的に行う施設を指し、歴史や科学博物館だけでなく、美術館や動物園、植物園、水族館を含む定義になっています。

ところで、日本人が「美術展」好きなことはご存知でしょうか?

「世界で最も来場者数の多かった展覧会ランキング(2019年)」では、例年通り日本の美術展が上位(4位8931人/日:ムンク展@東京都美術館、5位7808人/日:クリムト展@東京都美術館、7位7697人/日:国宝東寺展@東京国立博物館)を占めています。

ところが一方で、「世界で最も来場者数の多かった美術館・博物館ランキング(2019年)」では、1位960万人:ルーブル美術館 以下、10位の407万人:ナショナル・ギャラリー・オブ・アート(米)に至るまで、日本の美術館・博物館は、一つもランクインしていません。

これは、日本人は「美術展を好んで訪れる」事がわかると同時に、日本のミュージアムは、海外から作品を借りて展示する、「企画展が中心」であることから、限られた展示期間に来場者が集中する反面で、企画展を実施していない期間に来場者を集められていない、という状況を示しています。

日本型ミュージアム運営の特徴の一つに「ブロックバスター展」が、挙げられます。

「ブロックバスター展」とは、国宝やムンク、クリムトなどのように、すでに評価と人気を確立した作家の名品を集め、大々的に広報を仕掛けて集客する手法です。

もともとは、戦前にデパートを会場にして、新聞社が主催してきた展覧会方式で、戦後はテレビ局の参入に伴い規模を拡大して、美術館を舞台にした「ブロックバスター展」として、定着したという経緯があります。

メディアによる多彩な話題づくりによって、普段は美術館に足を運ばないような人たちが、展覧会を訪れるきっかけを作り、美術の裾野を広げるというメリットがあります。

その一方で「集客・イベント」としての側面が強調されるため、一過性の消費に終わってしまうというデメリットも挙げられています。

ブロックバスター展では、モネやゴッホといった確実に集客を見込める、「西洋・近代・名画一辺倒の大型展」ばかりが企画・開催されることになります。

それが何十年も続けられたため、次のような副作用が発生しています。

  1. 近代名画ばかりに親しみ、現代美術に関する市民の関心・理解が進まないため、「アート市場(=国内アーティスト)」が育たない。

  2. 展覧会の多くが、「作品を借りる元」の海外美術館学芸員による監修となるため、日本の学芸員の専門性・自由度が発揮できず、スキルが向上しない。

次世代のミュージアム運営を検討するには、「西洋・近代・名画偏重」のブロックバスター展に頼らない、運営方策を模索する必要があるのではないでしょうか。

2.公共ホール運営の三重苦

一方でもう一つの文化施設である、公共ホールの運営には、「三重苦」とも言える3つの制約があります。

  1. ホール料金の上限:公共ホールは、市民利用を前提にするため、ホール料金を低く抑えています。民間施設のホール料金の5分の1程度に設定されるため、特に安い非営利活動などの利用によって、稼働率が高くても、赤字になってしまいます。

  2. 住民利用枠の設定:公共ホールには、地元住民の利用枠年間〇〇日という設定があります。これにより営業力を高めるための稼働が制限を受けてしまします。

  3. 自主公演の開催:各公共ホールでは、貸しホール事業のほかに、自主事業としてのコンサート公演が義務付けられています。コンテンツもノウハウもないため、専門業者の公共ホール用パッケージに委託・開催するので、赤字興行になってしまいます。

近年脚光を浴びているアリーナ事業は、プロバスケットのBリーグのフランチャイズ利用とコンサート利用とで収支を支えようとしています。

また、コンサートの場合は、スタンディング形式を前提に運営され、1,000人〜3,000人がすし詰め状態になる公演によって収益化が想定されています。

利用効率が低くなる固定席で、さまざまな制約を受ける為、公共ホールでは、収益の改善が難しいというのが現実です。

次世代の公共ホールを検討するには、、文化施設としての「本質的な価値を担保」しながら、如何に柔軟な運営ができるかを、検討する必要があります

3.わざわざ立地、孤立立地

美術館・博物館やホール・劇場は、社会教育施設として設置されるため、交通利便性の高い繁華街よりも、静かでゆとりある敷地を確保できる立地が多い傾向にあります。

都市公園(東京の上野公園内の博物館群及び東京文化会館、京都の岡崎公園内の京都市京セラ美術館や京都会館など)の中に建設されることが通例です。

「ついで立ち寄り」ではなく、「わざわざ出向く必要がある」立地に、美術や演劇の鑑賞・観劇などの特定目的施設として設置されているという状況です。

文化施設の事業性を向上させるためには、「わざわざ立地&特定目的施設の運営」への対応が必要になると考えます。

 
 
 

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