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文化と体験 シン・文化観光 ③

【内容】

  1. 「文化」の定義

  2. 日本文化について

  3. 文化体験の五段階

 

 

1.「文化」の定義

「文化」について、辞書によるといくつかの定義があります。

  1. 人間の生活様式の全体。人類が自らの手で築き上げてきた有形・無形の成果の総体。それぞれの民族・地域・社会に固有の文化があり、伝習されるとともに、相互の交流によって発展してきた。

  2. このうち特に、哲学・芸術・宗教などの精神活動及びその所産。

  3. 世の中がひらけて、生活水準が高まっている状態。

当初は、②のように一部の精神活動を指していましたが、近年は、①の生活様式全般を「文化」と捉えることが多いようです。

因みに、「文明」との使いわけでは、「文明」が時代・地域とも限定され、経済・技術の進歩に重きをおくのに対して、「文化」は各時代にわたって、広範囲で精神的所産を重視するとされています。

 

2.日本文化について

日本の文化は、中国などの影響を受けながら、日本の自然観の中で独自性を持つようになります。

  1. 宗教:あまり意識されませんが、神道や仏教が深く根付いています。

  2. おもてなし:客人への心を込めた接遇・サービスを指します。

  3. カワイイ:愛らしく心を揺さぶられる感情を好みます。

  4. 侘び寂び:完全ではない状態を楽しもうという姿勢、枯れた状態や古さを味わう様を指します。

  5. 独自のマナー:お辞儀や敬語、行列など独自のマナーを持ちます。

  6. 和食:日本の風土に根付き、海外からの影響を受けながら、独自に発展してきた食文化を指します。

  7. 芸能・芸道:歌舞伎・能・落語・日本舞踊などの伝統芸能や、茶道・華道・書道・香道などがあります。

  8. 着物:日本の伝統衣装で、現代でも成人式などの特別な行事で、着られます。

  9. お花見:ただ花を鑑賞するだけで無く、春の訪れを慶ぶ行事になっています。

  10. 温泉:ただ体の汚れを落とす作業ではなく、大地の恩恵に感謝し、身も心も清める所作を指します。

  11. 庭園・日本画:伝統的な画材や技法を用いて描かれる絵画、位置や川などの景色を人工的に表現する造形技術としての庭園を指します。

  12. 工芸:切子や陶磁器の焼き物、織物などがあります。

 

3.文化体験の五段階

近年 注目を浴びる文化観光では、観光名所や文化財よりも、日本各地で独自に進化した「地域文化」(価値観・美意識)の体験が重視されます。

そして、文化を体験するには、文化の背景にある「文脈」を探り、地域の歴史、自然環境、人々の暮らしを丁寧に紐解いていく必要があります。

マーケティングにおける「体験価値」の視点を基にすると、文化を体験するには幾つかの段階があると考えます。

第一段階:単に見るだけではなく、五感を通じて体験する段階。

第二段階:人との対話を通じて、解説・ストーリーや質問などのやり取りで理解を深める段階。

第三段階:店舗などの観光や、食やアートなどの異分野連携で、世界観として体験する段階。

第四段階:ワークショップや交流会などを通じて、「文化」を運営するコミュニティに参加する段階

第五段階:商品やサービスの改善や開発などを通じて、次世代の「文化」を共創する段階。

 

現状の文化観光は、第一段階に留まっている状況だと言え、まだまだ深度化の余地が大きいと考えられます。

単に見て歩くだけの「観光地」から、居場所のある「関係地」にシフトさせる体験プログラムを如何に組み上げていくかが問われているのではないでしょうか。

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