【内容】
これまでの論点整理
今後の課題と可能性
基本方針と5つの施策
1.これまでの論点整理
基本方針を設定するために、これまでの論定を整理します。
都市開発の市場環境では、人口減少に加えて、コロナ禍を経た都心の商業・オフィスニーズの減退という需要環境と、建設費を中心とした開発費の高騰という供給環境という双方ともに厳しい状況と言えます。従来の容積緩和に伴う賃料増大だけでは収益性確保が難しく、複合的な事業構造が必要になってきています。
都市開発は不動産業の市場規模だけでなく、開発に伴う建設波及効果や企業誘致による競争力の向上など、様々な経済効果をもたらします。今後はさらに交通・通信事業者など様々な他業種と連携した総合的な価値創造が求められています。
不動産業は、高度成長社会までは、基本的に市場原理に沿って成長してきましたが、バブル期には売却益を狙った投資対象になり、バブル崩壊後は景気刺激策のツールとして推進を促されてきました。財政が逼迫する中、ますます都市政策と密接に関係してくると推察されます。
2.今後の課題と可能性
人口減少、商業や業務のネットシフトなどの長期トレンド踏まえると、国内の都市開発の原資となる「床賃料」の減退は避けられないと考えます。
人が集まる価値を、リアルな商業の売上を原資とした「床賃料」として還元するだけでなく、様々な価値に換算していく必要があるのです。
次世代の価値換算ポイント①技術革新による計測・可視化
広告業といえば、従来はテレビ広告の独断場だったのですが、より効果測定の可視化が可能なネット広告にシフトしつつあります。同様に不動産業においても、技術革新に伴って行動データや位置情報データを始めとした様々な価値の計測・可視化方策が構築されつつあります。
次世代の価値換算ポイント②企業価値の多様化
小田急電鉄は、コロナ禍を経て、「社内ベンチャーの育成」に力を入れています。
特徴的なのは、「沿線課題の解決が、沿線価値の向上につながる」というビジョンに基づき鉄道とは直接関係のないプロジェクトまで事業化している点です。
企業活動は、従来の売上一辺倒の価値追求だけではなく、 ESG投資などをはじめとして、非財務指標を含めたさまざまな価値指標を求め出しています。
3.基本方針と5つの施策
これからの不動産業は、床賃料だけでなく人が集まる価値を様々な価値に換算していくために、次世代の価値換算ポイントである①技術革新による計測・可視化 ②企業価値の多様化 を踏まえて、様々な価値提供が可能になると考えます。
本シリーズでは下記の5つの方策を提案します。
【方策1】時間シェア:夜市の提案
【方策2】ソフトインフラ開発:プレイスメディアとスポンサード
【方策3】データマネジメント:街丸ごと「b8ta」化
【方策4】デジタルツイン: AR外商ラウンジの模索
【方策5】コンテンツビジネス:競創プラットフォーム化
次回以降で、詳細を検討していきます。
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