【内容】
これまでの論点整理
「ソーシャル大学」という視点
シン・シェアオフィスの方向性
1.これまでの論点整理
コロナ禍で普及したリモートワークは、「出社して働く」という制約を緩めることに貢献し、街のあちこちに「サードワークプレイス」を誕生させた。
場所や目的によって様々なシェアオフィスが生まれているが、そのビジネスモデルは未成熟
オフィスは事務処理の場から情報創造の場へとシフトし、プロジェクト単位でネットワークしながら働く、シェアオフィスの優位性が高まってきている。
シェアオフィスには、利便性の高い立地で、初期費用を抑える事ができるというメリットと、セキュリティの配慮やカスタマイズが難しいなどのデメリットがある。
基本的には「又貸し事業」のため、薄利多売の事業構造となり、スケールメリットの追求か?付加価値による高単価化か? 或いは特別な貢献価値による元値抑制が必要になる
要するに単に既存のオフィスフロアを細分化して、共用施設を整備し、初期コストを抑えるというだけではダメだという事です。
デザインに特化した差別化戦略も、コモディティ化しています。
既存の企業オフィスで賄えない部分を補完・相乗させる役割が求められているのだと考えます。
2.「ソーシャル大学」という視点
孤立しがちな企業オフィスの内外を繋ぐ方策は、一種のまちづくり同じ手法だと入れるのではないでしょうか?
まちづくり手法に「街を丸ごと大学」に見立てる「ソーシャル大学」があります。
街を丸ごと大学に見立てると、個別のイベント・プログラムを「講義」として再編成でき、関係業種を「学部」として捉える事が可能になります。
既存の用途やヒエラルキーを見直し、フラットで新しい関係を構築する機会を提供可能です。
以前、渋谷の街を丸ごとキャンパスに見立てる「シブヤ大学」の協力を東急ハンズの経営層にお願いに行ったことを思い出します。
東急ハンズの当時の専務は
もしシブヤ大学内に「ハンズ学部」を作れば、シラバスを検討するプロセスで「ハンズとは何か?」を考える機会になる。
シブヤ大学で教える先生と学生という立場ができると、それまでのお客様と売り子という関係だけではない新しいコミュニケーション機会になる。
他の学部に協力する企業(例えばタワーレコード、 BEAMS)と、地域における横の繋がりを作る機会になる。
などの効用を認識されていました。
「街丸ごと大学」と見立てる事が、固定化・孤立化してしまいがちな企業活動の、活性化に役立つと評価いただいたのです。
もちろん普段は各建物の中に収まっている機能を、横断して活用することによって、街に人が出て交流し賑わうという効用も想定されました。
「シブヤ大学」をベンチマークにして、シェアオフィスを「大学見立て」してみてはどうでしょうか?
3.シン・シェアオフィスの方向性
次世代のシェアオフィスを考えるためには、シェアオフィスの存在価値そのものを考える必要があります。
シェアオフィスというのは、あくまで「手段」であり、それ単体では事業化が難しいため、別の「目的」のために、シェアオフィスを活用するということです。
「ソーシャル大学」という視点を活かして、シェアオフィスに集まるビジネスコミュニティを再編成することによって、ビル全体に価値提供できる施設にすることを提案します。
次回以降で下記の3つの視点でのシン・シェアオフィスを検討していきます。
方策1イノベーション・シェアオフィス
方策2コミュニティ・シェアオフィス
方策3ヘルスケア・シェアオフィス
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