検索

原始社会に学ぶ  井口 典夫(青学大教授・FIACS理事)

更新日:2021年4月29日

 コロナ禍で不要不急の外出が制限されてから1年以上が経ちました。「人との接触を8割無くすこと」が目標とされ、出勤は週1日、友人との接触はZoomとなり、対面するのはほとんど家族のみという「新しい日常」が始まりました。その後、顧客との会議は対面じゃないとマズイとか、友人たちとの語らいはリアルじゃないと楽しくないといった意見が聞かれ、実際コロナの第一波が下火になった時はGo To 事業の話題なども盛り上がりました。しかし第三波の爆発的な感染拡大で、もう以前の日常には二度と戻れないことを思い知ったのでした。世界は完全に変わったのです。

 適応力が高く柔軟な人々は早速アタマを切り替え、「古い日常」の酷さを反芻することになります。都市は通勤地獄、劣悪な住環境、高い物価、犯罪、事故、防災など不安要素が山積みです。一方で家族の交流、自然の素晴らしさなどを再確認し、これこそ人間らしい生き方であるとの思いを一層深めることにもなりました。結局、リアルに必要なのはスーパー・コンビニ、運動のための近隣公園、病院だけなのでした。仕事やエンタメは在宅で十分。面倒くさい上司や取引先とリアルに会う必要はない。余計な公共投資はいらないので税金は安くなる。

 健康寿命80年の中でいかに楽しく生きるかがすべてです。われわれはほとんど誰にも会わなくて済むようになった人生の素晴らしさをいま噛みしめています。そこでは自宅と野山、家族と村というコミュニティのみが説得力を持つのです。仮にリアルな街について何か考えたいとする場合、そうした「原始社会」に学ぶ姿勢が不可欠と考えます。

最新記事

すべて表示

共感人口の参考になる関係人口の創出方策については、明治大学の小田切徳美教授によって「人」、「場」、「仕組み」の観点から整理されています。 「人」は地域の人と関係人口を結びつける役割を果たす「関係案内人」や中間支援組織等のことで、拠点の場所に関わらず都市側及び地方側の両方の視点を持ち、地域を客観的な視点でみることが可能な人であり、偶発性を装いながら必然性をデザインする場の「編集人」とされています。関

共感人口の参考例として関係人口の規模感について整理します。2021年にブランド総研が行った関係人口の意識調査によると、都道府県で最も関係人口が多いのは福島県で1229 万人となりました。これは福島県の居住人口(約 182 万人)の 6.8 倍にあたります。次いで沖縄県の 950 万人、北海道の 756 万人と続きます。この調査では関係人口は大きく 2 つの層から構成されると定義されています。ひとつ

都市における「共感人口」を検討するために、そもそもの関係人口の定義や規模感、創出施策を整理します。 関係人口とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、「地域や地域の人々と多様に関わる人達(人口)」を指します。2016年に雑誌「ソトコト」編集長の指出一正著「ぼくらは地方で幸せを見つける」、2017年の田中輝美著「関係人口をつくる」などで提唱された概念です。2017年には総務