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卒・売り場思考の商業施設⑨ 都市の主役シフト

コロナ禍の長期化が現実味を帯びてきています。諺にある「台風一過の晴天」とはいかず、コロナ以前の状態に戻る事を夢想しない方が良いのではないでしょうか。より遠くまで移動しより多くの人との交流が価値になったり、より多くの人・モノ・情報を集積させ沢山のお客様での賑わいを目標にしたり、一斉一律での効率良い行動を求める時代は終焉したニューノーマルを想定すべきです。ホワイトカラーの仕事の殆どがオンラインで可能な事を経験し、これまでの都市づくりの原理とされてきた「移動・交流/集客・集積/一斉・一律」などの「量の経済性」を基点とする価値観がシフトしました。今後は経済合理性中心だけではない「リアル都市の役割」を見極めていく必要があると考えます。「多様かつ濃密な情報交流」という点が、リアル環境の優位性だと言うことが明らかになって来ています。オンライン1st時代の都市は「集まって効率よく働く場」ではなく「様々な活動(=遊び)を通して輝きあう場」としての役割・機能を備えて初めて、ワザワザ出かける場所として価値を持つのではないでしょうか。都市の主機能は「働・生産」ではなく「遊・文化」にシフトしたと考えます。それに伴い経済合理性・利便性を求めて集まる法人(企業)ではなく、より個性・文化性に磨きをかけ発信するために活用する個人が、都市の主役になる時代です。

宗教や哲学的には生の意義とは「他者との関わりを通じた進化にある」と言われます。人間の脳は自分一人で考えると、「脳内生活」で紡ぎ出す迷走ストーリーに陥ってしまう傾向にあるそうです。そしてインターネット検索のアルゴリズムが生み出すフィルターバブル状態がこの迷走を助長してしまうのです。この迷走を予防するためには、敢えて都市に移動し人・モノ・環境との実感交流を経て、多様な視点でしなやかな思考を練り上げていく必要があるのです。多様な人・モノ・環境との実感交流の舞台こそ、これからの都市の役割だと考えます。


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都市開発において当然ですが「建築のあり方」は特に大切です。 ですから設計コンセプトの手がかりとなる「企画・構想(開発)コンセプト」を明確に示す必要があるのですが、逆の流れになっているのが現状ではないでしょうか。 開発プロジェクトは「取り敢えずボリュームスタディしてみる」と称して主要用途を容積率一杯に作った計画からスタートします。何度か、このボリュームスタディを目にしている内に、プロジェクトチーム内

私たちは、コンセプトの抽出にあたって、共創ワークが不可欠だと考えます。共創ワークとは、プログラムに沿った関係者とのグループディスカッションを指します。 共創ワークでコンセプトそのものは抽出できませんが、その前提となる「目指すべきゴール」「現状と事業条件」などの共有を通じて「課題」が明確になります。それに加えて「地域の潜在性・自分達の DNA」の再認識プロセスが非常に重要です。 これまでのように、マ

コンセプトは前述のように思いつきのキーワードでは、関係者内で認識が共有されません。従来のように市場分析で得られたポジショニング提示すれば良い訳でもないため、そのコンセプトに至る方法論を、明確にしておく必要があると考えます。 そこで私たちはコンセプトの位置付けを明確にし、その抽出方法の方程式化を試みました。 まず全ての開発プロジェクトは、課題解決に繋がるという前提で式を作ります。すなわち「A:課題抽