コロナ禍での外出自粛や非接触ニーズから、ネットショッピングの機会が増えたのではないでしょうか? 宅配便大手3社の2020年度の取扱個数は45億個に達し、19年度の40.3億個から、5億個近い増加になりました。リアルな商業施設は逆に2021年6月ではコロナ前の2019年同月比−23.5%(SC販売統計調査)で、特に都心部では−31.4%と厳しい数字を示しています。モノを買うためにワザワザ電車で移動したり、駐車場待ちの列に並ぶ手間を「無駄と考える」ことがすっかり定着しました。買い物もオンライン1stの時代になり、これまで都市における賑わいの中心的存在であった「リアルな商業施設の存在意義」が問われるようになっています。
日本のEC化率(BtoC)を見てみると、2020年度は前年比21%で過去最高の伸びを示したものの全体では約8.08%(2020年度)で、20%を超える米国や中国の1/3程度しかありません。書籍・音楽(43%)、家電(37%)や生活雑貨・家具(26%)など高い分野もありますが、【食品は3%強】に止まっています。今後のリアル商業のあり方を考える際に、【全体EC化率が20%を超える米国や中国でも「食品」は3%程度に止まっている】状況が、ヒントになるのでは無いでしょうか。従来から指摘されるように「食品」は消費期限や配送コストの問題からEコマースにシフトしにくい分野と推察されます。ファッション(19%)やコスメ(6%)などの分野は今後ますます EC化にシフトすると予想される中、リアル商業は【飲食店と合わせて食+α】として構成することを提案します。商業施設テナントの大部分を占める衣料品や身の回り品の売り場を、大きく改変していく工夫が必要です。卒・売り場思考の商業施設づくりが求められるのです。ここでは「脱〇〇」という表現で売り場を否定するのではなく、次世代型ライフスタイルへの移行という意味で「卒・売り場」思考として、論考を進めていきたいと思います。
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