共感人口の参考例として関係人口の規模感について整理します。2021年にブランド総研が行った関係人口の意識調査によると、都道府県で最も関係人口が多いのは福島県で1229 万人となりました。これは福島県の居住人口(約 182 万人)の 6.8 倍にあたります。次いで沖縄県の 950 万人、北海道の 756 万人と続きます。この調査では関係人口は大きく 2 つの層から構成されると定義されています。ひとつは「出身者」で、現在は居住していなくても出身地の動向は気になるもので、愛着がある人も多いと想定されています。もう一つは居住者や出身者以外に「応援したい=応援者」と思う人たちです。居住地や出身地以外に「応援したい」と感じる都道府県がある人は 55.2%という結果になっています。これらをもとに出身者と同様に応援者の人口を推定したところ、福島県で1229万人となったのです。同県の関係人口の特徴は、ボランティア活動や寄付、産品購入などの意欲のある人が多いことです。 「応援したい都道府県とは、どのような関係がありますか(居住や出身地以外)」との質問に関しては、「これまで特に関りがない」または無回答とした人が全体の 32.8%を占め、特別な関係がなくても「応援したい」と感じている人が多いようです。関係人口のうち、関係している都道府県への訪問状況は「ほとんど毎月」が 7.8%、「年に数回程度」が19.8%、「年に 1 回程度」が13.7%で、計 41.3%が年に1回以上の訪問をしています。一方、国土交通省が2020年に、関係人口の実態把握を目的として実施した「地域との関わりについてのアンケート」によって、三大都市圏に居住する人の約2割(約 1080万人)が関係人口として、日常生活圏、通勤圏等以外の特定の地域を訪問していることが明らかになりました。関係人口の地域との関わり方については、地域との結びつき度が強い直接寄与型から、就労型(現地就労)、参加・交流型、就労型(テレワーク)、趣味・消費型まで多種多様となっています。地域を訪れた際に、地域との“関わりしろ”と偶発的に遭遇することができれば、地域を継続して訪問するようになり、地域との関わりを持つ関係人口となることが多いとされています。 1000万人を超える人たちが年に一度以上往来しているとなると、関係人口は非常の影響力のある人口動態であると言えます。
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