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先行開発での展開 築地アップデート ⑨

【内容】

  1. 先行賑わい施設の計画

  2. 先行賑わい施設のあるべき方向性

  3. 「築技」を拡張・継承するプログラム

 

 

1.先行賑わい施設の計画

築地再開発は、2段階の開発スケジュールで計画されています。

多機能スタジアムを含むほとんどの施設は、2032年に開業予定ですが、波除神社の隣接地に関しては、2段階目に開発され2038年の開業予定になっています。

そしてこの場所を活用して、先行賑わい施設を2025年に着工し、波除広場やフードホールを一体的に整備し、年間を通じて様々なイベントを開催するとしています。

地元との連携やオーバーツーリズムの緩和に資する取り組み、こどもが訪れたくなる企画等により、幅広い層に愛される場所を目指すとしています。

工期を2年ほどと想定すると、2027年〜2032年の約5年程度の暫定利用と想定されます。

「築地」に直接関わりのある場所であり、直近での開発になるため、築地再開発との連携の試金石になる事業と言えるのでは無いでしょうか。

 

2.先行賑わい施設のあるべき方向性

通常の再開発事業では、工事中のマイナスイメージを払拭するために、暫定事業としてイベントなどを開催することがよくあります。

一般的には、完成後の賑わいを生みだす助走事業的な意味合いを含めて、有効だと思います。

しかし「築地」が、他の開発地と最も異なるのは、「無闇に集客して欲しくない」という点では無いでしょうか?

フードホールを開設し、様々なイベントを開催すれば、益々観光客が増えるだけの状況が予想されます。

オーバーツーリズムの緩和について触れられていますが、単に広場を設けて人混みを緩和する程度の話ではなく、これまで触れてきたような、老舗専門店の地力をつけるための具体策につながるような方向性に調整していく必要があります。

 

3.「築技」を拡張し継承するプログラム

先行賑わい施設には、「築地」のアップデートを先導する機能が必要です。

「賑わい時間の延長」のための「築地逸品市場」を拡充させることも有効ですが、この立地と規模で、単独での継続的な賑わいづくりは難しいでしょうし、「築地魚河岸」との役割分担を明確にしないと、お客が分散して両方とも廃れてしまうかもしれません。

より重要な点は、「築技の体験を拡張し継承することを重視すべき」だと言うことでは無いでしょうか?

基本的なスタンスとして、プロ、アマを問わず「築技」のファンを増やしていくことが重要です。

具体的には、「築地」の食材を活用し、「食べ比べ体験」をさらに高度な料理に昇華させた「築技体験レストラン」を開設する事が考えられます。

これにより、一般客・観光客の「築技」ファンを増やし、使用した食材の老舗専門店に誘客することが可能になります。

また「築地」の食材を活用し、「築技」を習得しながら料理の腕を上げ、トライアルを繰り返せる「築技トライアルレストラン」の開設も面白いと思います。

「築地」の食材を活用し、「築技」を会得した優秀な料理人を育成していくことは、プロの「築技」ファン(=将来的な買い出し人候補)の増加につながります。

先行賑わい施設の開発にあたっては、「築技」を進化させる機能が有効と考えます。

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