top of page
検索

住まい方の提案:ソーシャルアパート:シン健康まちづくり ⑤

【内容】

  1. ノビシロハウスの奇跡

  2. ソーシャルアパートの可能性



1.ノビシロハウスの奇跡

健康まちづくりの基本になる「住まい方」を考える上で、参考になる施設が、神奈川県藤沢市にある「ノビシロハウス」です。

小田急線六会日大前駅から徒歩7分にある民間の賃貸集合住宅ですが、高齢者と若者とがともに暮らすソーシャルアパートとして話題なのです。

住居棟の1階4室には高齢者が入居し、2階には家賃半減でソーシャルワーカーが、入居しています。隣接する店舗・事務所等は1階にカフェ&ランドリー、2階は訪問介護センター・クリニックという構成になっています。

現在大学生などが、ソーシャルワーカーとして、月に一度のお茶会開催や、毎朝の挨拶ルールなど、お年寄りの「見守り」を条件に家賃を減免して入居しています。

「彼らの家賃が安くなるのは、高齢者がその分を負担してくれるから」というロジックが、一方的にお世話される社会弱者という立場ではなく、フラットな関係が築けている秘訣と言われます。

ソーシャルワーカーに全て任せてしまうと、何かあった時の責任が大きすぎるため、IOTセンサーや顔認証カメラの設置などのデジタルの仕組みで、見守りの不完全さが補完されています。

加えて店舗では、カフェで販売するコーヒーのラベル貼りや、併設するランドリーでの家事代行など、高齢者に仕事を提供する役割も担っています。

「ノビシロハウス」の名前には、「いつまでもノビノビと暮らしてほしい」「何歳になっても、人生にノビシロがある」という意味が込められていると言います。


2.ソーシャルアパートの可能性

ノビシロハウスには、全国の事業者及び自治体からの視察申込みが絶えないと言います。

  1. 高齢者が少し負担して、見守り役のソーシャルワーカーの家賃を減免することで、フラットな関係づくりの仕組み

  2. ソーシャルワーカーとの人的な交流・見守りと、それを補完するデジタルの仕組み

  3. 高齢者が簡単な仕事に携わり、社会参加できる店舗の仕組み

など、単に多世代同居しているだけでなく、高齢者とソーシャルワーカー(若者)とが共に、「支え合う」ことを仕組み化しており、非常によくできたモデルだと思います。

このように健康まちづくりの基盤となる住まい方モデルを担える施設には、公的な助成があって然るべきだと考えます。

このような関係創出型のソーシャルアパートが、全国に普及する事が望まれているのではないでしょうか。

最新記事

すべて表示

【内容】 個人にとっての効用 街と社会にとっての効用 サードプレイスがある効用とは何でしょうか? ここでは、「個人」と「街と社会」にとっての効用を整理します。 1.個人にとっての効用 1.新しいコミュニティへの所属 サードプレイスでは、新しいコミュニティを構築でき、ファーストプレイスやセカンドプレイスにはない関係性が生まれます。新たな所属が、日常における待避場所となり、生活の満足度が高まります。

【内容】 A:交流型サードプレイス B:マイプレイス型サードプレイス C:価値共有型サードプレイス サードプレイスの分類では、本来オルデンバーグが示した「A:交流型」と、日本での主流となっている、一人または数人で静かに自分の時間を過ごすために、活用される居場所タイプ 「B:マイ・スペース型」の2種類への分類が一般的です。 ここでは、より現代の日本社会に対応させるため、特定の目的や意味を共有する「C

【内容】 日本にも有ったサードプレイス的空間 日本的なサードプレイスの特徴 1.日本にも有ったサードプレイス的空間 日本にも「家でも会社でもない居場所」という意味での、サードプレイス的な空間はありました。いくつかを例示します。 居酒屋:日本文化研究者のマイク・モラスキーが、日本におけるサードプレイスの代表例として「赤提灯や大衆酒場のような庶民的な居酒屋」を挙げているように、カウンターが一種の共有空

bottom of page