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今 なぜ「ネオ生業」なのか? ネオ生業の時代 ①

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 4月4日
  • 読了時間: 4分

【内容】

  1. 人生100年時代のライフプラン

  2. 会社仕事のシステム化

  3. ライスワークと「ライフワーク」の並走

 

 

1.人生100年時代のライフプラン

生業(せいぎょう)とは「なりわい」とも言いますが、一般的には「生計を立てるための仕事」と説明されます。

「人生100年時代」の到来と言われて久しい昨今では、従来型の人生設計の見直しを迫られている人も多いと思います。

これまでは大学卒業後60歳定年までの約40年間を終身雇用で働き、再雇用などで数年延長し退職金と年金とをもとに、残りの20年足らずを孫の成長などを楽しみながら、「余生」として過ごすというのが基本的な人生モデルと言われてきました。

これが人生100年となると、60歳以降が従来の2倍の40年になり、もはや「余生」というには長過ぎ、老後資金が足りなくなってしまいます。

そんな不安を元に「老後資金2000万円問題」などが騒がれました。

おまけに年金破綻も噂され、理想的には生涯現役で、少なくとも75歳ぐらいまで働きつづける必要があると考える人たちが多いのではないでしょうか。

このような前提に立つと、人生100年時代のライフプランは、60歳まで会社に残り再雇用・延長などで先細りしていくシングルキャリアにしがみつくのではなく、マルチキャリアを前提に準備・実効していく方が賢明だと言えます。

 

2.会社仕事のシステム化

一方で会社の仕事は、情報化・システム化に伴い、業務の細分化と標準化が進み、個人の裁量が減少しやすくなってきています。

決められた手順に従う業務が増えることで、自分の仕事が全体の一部にすぎないと感じることも多くなります。

また、AIやデータ分析の活用により意思決定がシステムに組み込まれ、従業員が単なる実行者になりやすくなっています。

その結果、創造的な仕事の機会が減り、機械的な作業が多くなることで「歯車のように働いている」と感じることがあります。

また、大企業では業務が細分化されているため、自分の貢献が見えにくくなり、「自分がいなくても仕事は回るのではないか?」と考えがちです。

そしてテクノロジーの進化により、人の役割が補助的になりやすく、やりがいや達成感を得にくくなります。

こうした要因が重なることで、仕事が単なる作業に思えてしまい、自己の存在意義を見出しにくくなっているのです。

しかも「昭和の時代」の会社が持っていた「余力」もなくなって、失敗が許されなくなっています。

「コンプライアンス」という縛りばかりが強くなり、会社の仕事は何とも「キュークツ」を感じているのではないでしょうか。

 

3.ライスワークと「ライフワーク」の並走

高度成長期は事業の領域を絞って、大量に人間を投入するビジネスモデルが、成果を上げていましたが、経済成長が鈍った成熟社会には対応しにくい仕組みになっているといえます。

この変化対応に苦しんでいるのが現在の状況ではないでしょうか。

「脱・中央」、「脱・分業」の役割を担う仕組みをつくれば良いのですが、完全に独立して開業するのもハードルが高いと思います。

転職は当たり前、1億総副業時代にな利つつあることを踏まえると、ライスワークとしての会社仕事と並行して、自分の興味と得意とを生かした副業をライフワークとして続けて行ってはどうでしょうか。

「副業」というと座りが悪いですし、「ライフワーク」では大仰すぎる気がします。

収入目的だけではなく、ライフワーク的な副業スタイルを「ネオ生業」と定義します。

その意味で「ネオ生業」で重視されるべきは、お金を使わない半分趣味、半分実益というスタンスになります。

そして、「ネオ生業」スタンスは地域コミュニティが息を吹き返すキッカケにもなると考えます。

地域コミュニティでは、「主体」も「客体」もない、役割を決めすぎずやれる事は自分の役割の境界を超えて、「なんでもやる」姿勢が求められます。

コロナ禍に伴いリモートワークが定着し、毎日出社する必要がなくなり、在宅及び街で過ごす時間が増えました。

これまでは通勤アクセスを中心に選択されていた自宅選びの制約がなくなり、身近でネオ生業を開業・運営できる家や街が求められるようになるのではないでしょうか。

ネオ生業の持つ、自己裁量大きさとその成果での実感が、地域コミュニティにおける達成感と自己効力感につながっていくのです。

本シリーズではこのような視点で、ネオ生業の可能性と課題及びその実現方策について検討していきたいと思います。

 
 
 

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