今 なぜ「ふるさと論」が必要なのか シンふるさと論 ①
- admin
- 4月28日
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【内容】
帰省ラッシュはいつまで?
「ふるさと」イメージ
「ふるさと論」の重要性
1.帰省ラッシュはいつまで?
お盆休みや年末年始の帰省ラッシュは、毎年恒例のニュースになっています。
数十億人規模が移動する中国の春節ほどではありませんが、帰省ラッシュは新幹線の大混雑や数十キロの及ぶ高速道路の渋滞を引き起こしています。
年末年始の帰省ラッシュ時に移動する人数は、実家や親戚訪問を含めると1000万人と推定されています。(国内宿泊旅行者数約2800万人の36.6%:2025年 JTB調査)
「帰省ラッシュ」という現象は、1950年代後半から1960年代に都市部への人口集中が進んだことで生まれました。その後1964年の新幹線開通や1970年代のマイカー普及によって本格化したと言われています。
しかし近年では、日本の総人口が減少し、減少傾向が地方でより顕著になるとともに、都市部で生まれ育つ世代が増えている状況です。
「帰省する実家がない」という人も増加しているのではないでしょうか。
中期的(10―20年後)には、帰省する人数の減少(2035年:-10%推計)
と想定されています。
この状況を、盆暮れの交通機関の混雑が緩和されて「めでたし めでたし」と、手放しには喜べないと考えます。
2.「ふるさと」イメージ
1. 兎(うさぎ)追いし かの山 小鮒(こぶな)釣りし かの川 夢は今も めぐりて
忘れがたき ふるさと
2. 如何(いか)にいます 父母(ちちはは) 恙(つつ)がなしや 友がき 雨に風に つけても 思いいずる ふるさと
3. 志を 果たして いつの日にか 帰らん 山は青き ふるさと 水は清き ふるさと
この「ふるさと」は1914年に発表された文部省唱歌で、小学校をはじめ様々な場面で歌われ、日本の国歌のように定着しています。
日本人にとって懐かしさや郷愁を感じさせる代表的な唱歌と言えますが、この歌のイメージをリアルに分かる日本人は、今の時代に何割いるのでしょうか?
魚を触ることはもちろん、虫を見るのも怖いという子供達が増えていると言います。
これからも東京を中心とした大都市への人口流入は、避けられないと思いますし、地方の実家(=リアルふるさと)は減少の一途を辿ることになる推察されます。
日本人の原風景とも言える「ふるさと」を、時代の流れの中で、簡単に手放してしまっても大丈夫なのでしょうか?
3.「ふるさと論」の重要性
「ふるさと論」が重要とされる理由を5つ挙げてみます。
1. 地域活性化と地方創生の必要性
少子高齢化や過疎化が進む中、地域の魅力を再発見し、活性化させることが求められています。
ふるさとへの関心を高めることで、若者のUターン・Iターンを促進し、地方の経済や文化を維持することができます。
2. グローバル化とアイデンティティの再確認
世界が急速に一体化する中で、自分のルーツや地域文化を理解することが、個人のアイデンティティを確立する上で重要になります。
「ふるさと」を再考することで、日本独自の文化や価値観を再認識し、国際社会の中での自己認識を深めることができます。
3. 災害やパンデミックによる価値観の変化
コロナ禍を通じて都市の脆弱性が明らかになり、地方での暮らしやリモートワークが見直されています。
災害時の地域コミュニティの重要性も再認識され、「ふるさと」の持つ安全性や人とのつながりが見直されています。
4. 環境問題と持続可能な社会の実現
近年、環境破壊や気候変動が深刻化し、持続可能なライフスタイルが求められています。
地域の伝統的な暮らしや資源の活用を見直すことで、環境に配慮した生活を考えるきっかけになります。
5. 新しい価値観としての「多拠点生活」や「関係人口」
近年、都市と地方を行き来する「多拠点生活」や、ふるさとに関わりを持つ「関係人口」の概念が注目されています。
「ふるさと論」を深めることで、単なる「定住」ではない、新しい地域との関わり方を模索する動きが広がっています。
本シリーズでは、このように「ふるさと論」は単なる郷愁ではなく、現代の都市社会の課題と密接に関わるテーマとして検討していきます。
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