【内容】
不動産業の定義
不動産業の市場規模と経済効果
不動産業の展望
1.不動産業の定義
不動産業とはその名の通り、「不動産を扱っている事業者」を指し、4つの職種に大別されます。
不動産売買:不動産を購入したり、消費者に直接販売します。
不動産仲介:不動産を売りたい人、購入したい人を探しマッチングさせます。
不動産管理:賃貸マンション、ビル、土地などを管理します。
不動産賃貸:不動産を所有し、貸し出すオーナーや大家を指します。
不動産業には3つの流れがあります。
ディベロッパー(開発):土地を仕入れ、建設会社と協業し、ビルやマンション、商業施設などを建設し、販売もしくは貸し出す業態です。莫大な資金力が必要なため、財別系を中心とした大企業が活躍しています。
売買・賃貸仲介業者(流通):不動産の売り手(貸主)と買い手(借主)とを結びつけ、仲介手数料を得る仕事です。仕入れの人ようがなく小資本で参入可能なため、競合が多い業界です。
管理会社:土地や建物の管理を行うことで、報酬を得ています。安定した売り上げにつながりますが、大幅な収入は見込めないため、仲介などを兼ねる場合が多いようです。
因みによく混同される「宅建業」との違いを整理すると、「上記の4職種すべてに対応するのが、不動産会社」で、主に「販売・仲介するのは、宅建業者」と区別できます。
本シリーズでは、川上事業者として開発を担い、流通や管理などの川下分野に影響力のある「ディベロッパー」を対象に検討していきます。
2.不動産業の市場規模と経済効果
国土交通白書2023によると、市場規模は46兆2,682億円となり、直近5年間は45兆円前後で堅調な推移を示しています。
不動産業は、全産業の売上高の3.4%,法人数の12.8%を占めています。
不動産事業者は全国に34万社あると言われ、上記の売上と法人数の割合が示している通り、流通(宅建)分野を中心に中小事業者が非常に多い業種です。
新築住宅の着工数は増加傾向にあり、
国交省が発表した「建築着工統計調査報告」では、2022年の新設住宅着工戸数は、85万9529戸で、2年連続で増加しています。
不動産業の単独での市場規模は45兆円前後となっていますが、建設業への波及効果や企業誘致に伴う産業活性化など、都市にとって非常に幅広い経済効果を及ぼす産業といえます。
しかしマクロ視点では、少子高齢化と人口減少による市場規模の縮小が懸念されます。
また地方における「空き家」問題も深刻で、国交省の「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」によれば、2025年約420万戸、2030年約470万戸になると予想されています。
3.不動産業の展望
国交省がまとめた「不動産業ビジョン2030」によると、不動産業の将来像として、下記の3点が掲げられています。
豊かな住生活を支える産業:良質な住宅の供給や、ライフステージに合わせた円滑な住み替え、さらに試算価値維持によって、人々の生活基盤を支えることが求められています。
我が国の持続的成長を支える産業:オフィスや製造・物流拠点、お照屋リゾート施設、商業施設の供給や維持管理によって、国内外からヒト・カネ・情報を呼び込むこと、さらに新たな価値やイノベーションの創出を促すことが期待されています。
人々の交流の「場」を支える産業:人口減少や少子高齢化の中でも、人との交流促進や、街に賑わいを生み出すための「場」づくりが期待されています。
これらの将来像の実現に向けて、交通や他業種との連携による「トータルサービスの提供」が言及されています。
時代の要請や地域のニーズを踏まえた「価値創造の最大化【不動産最適活用】」の実現が求められています。
生活や他業種の活動を支える「プラットフォーム」である、という認識が必要ではないでしょうか。
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