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マーケットプレイスから「コンテンツプレイス」へ⑥ D2 Cモール

日本のBtoC(物販系)Eコマースの市場規模は10兆円(2019年)から12.2兆円(2020年)になり、21%を超える伸びを示しており、特にD2Cメーカーが存在感を示しています。中間流通業者を通さず自社のEC サイトを通じて、顧客に直接販売するメーカー直販ECで、海外事例の Warby Parker(メガネ) やAllbirds(スニーカー)、国内事例ではバルクオムやファブリックトウキョウなどが代表格です。従来のように工場設備や店舗などを持たずに開業できるため、大きな初期投資を伴わず参入障壁も低く、日々新しいD2Cメーカーが誕生し続けている状況です。乱立するD2C メーカーの最大の課題は「集客」だと言います。 SNSを通じて自社ブランドの世界観などを発信していますが、情報洪水の中でデジタルだけで差別化を図っていくことは極めて困難です。増え続ける競合に対抗するために①オンライン広告の費用は高騰し、②高まらないリピート購入率に苦しみ、③結局は大多数のお客様が大手に流れがちな状況です。 商業施設 DXのトップを走るパルコ幹部によると「最も顧客獲得率が高い方法はSCへの出店」になるようで、オンライン1stを前提に話題づくりやリアルな顧客接点機会として、SC内にポップアップストアを出店するケースが増えているのです。

D2 Cメーカーの導入は、単に空き区画を埋めたり、賑やかしの要因としては適切ではありません。D2Cメーカーの特性と狙いとを見極め、きめ細かく対応していく必要があります。①オンラインショップにおける話題・エポックづくりやオフ会としての機能を重視するなら、ファンミーティングの開催に適した環境演出や、インフルエンサーとのマッチングサービスなどが有効になると考えます。②D2 Cメーカーがその世界観やライフスタイルの強化を目的にしているのであれば、類系商品・ショップ同士を合わせる雑誌編集的な感覚での演出や、関連セミナーや展示会の開催サービスを付加するなど体験価値の提供が必要かもしれません。③商品開発ステップで、顧客の反応やフィードバックが求められるのであれば、b8taや蔦屋家電のように対応できる人材の配置やセンサー設備が必要でしょうし、さらに一歩進んで客が滞留・体験し、意見交換しやすい環境づくりが有効です。このように単なる店舗区画ではなく、ある意味でスタジオであり、ミュージアムであり、ラボとしての位置付けと演出・対応が必要になるのです。

リアル店舗に顧客接点力を求める D2Cメーカーに対して、施設側はWEB広告などの仕組みを参考にして、提供価値を見える化していく必要があります。



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