top of page

マーケットプレイスから「コンテンツプレイス」へ④ コンテンツプレイスの考え方

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2022年6月17日
  • 読了時間: 3分

オンライン1stを前提にコンテンツプレイスを検討するための前提や背景がいくつかあります。まず日本の業種別EC化率(BtoC)を見てみると、書籍・音楽(43%)、家電(37%)や生活雑貨・家具(26%)など高い分野もありますが、「食品は3%強」に止まっています。従来から指摘されるように「食品」は消費期限や配送コストの問題からEC化しにくい分野と推察され、全体EC化率が20%を超える米国や中国でも「食品」は3%程度に止まっています。ファッション(19%)やコスメ(6%)などの分野は今後ますます ECにシフトすると予想される中、リアル商業は「飲食店と合わせて食+α」を集客核として構成すべきだと考えます。一方でショールーミングが常態化している生活家電・AV機器や、 D2 Cメーカーの台頭が著しい衣料品・身の回り品の分野では、本格的なオンライン連携を対応していく必要があります。また生活者の視点で見るとネット通販は便利な反面、情報が平坦で選択肢が多すぎ「ネットでの選択疲れ」も顕在化し始めています。そして何より「ずっと家に篭りきりというのも息が詰まる」ため、「外出する口実」を求めているも現実なようです。

これらの認識を基に①食のコンテンツ化②D2Cコンテンツモール③セレクト量販店④ソシオコミュニティ⑤ワーク&ライフMIX などを提案します。

またコンテンツプレイスは、リアルにおける集客・量を求めるのでなく、オンライン1stで共有情報の「質」を高め、ネット上でファンを育み価値化する戦略です。交通利便性や高い容積率を追求するだけでなく「世界観とストーリー価値」が重視されるようになります。事例としては10階建ての近代的なビルから、自然素材をふんだんに使用した4階建ての社屋に建て替えられた赤坂離宮前の「虎屋本店」や、飯田橋から所沢に本社を移転し、本棚劇場などの文化施設を含む「ところざわサクラタウン」を開発したKADOKAWAがベンチマークとなります。それぞれ自社のDNAを踏まえ、将来に向けたサスティナビリティを考えた上で、強みに磨きをかける選択だといえます。東京大学の小泉先生が指摘される「これからは真実性(相応しさ)と歴史性(サスティナビリティ)とが重視されるようになる」の好例で、「世界観とストーリー」を纏ったリアル環境をショールームのように生かしてオンライン上でファン(=経済価値)を獲得していくわけです。コンテンツプレイスの設えとして、「神社」が持つ①由来②境内・参道③祭りの三点セットの見立てが参考になると考えます。

  1. 由来:立地(自然、歴史など)或いは事業者の DNAを踏まえた「想いとストーリー」

  2. 境内・参道:ファンが共感体験を味わえる「配置と設え」

  3. 祭り:今ここに来るべき機会やファンの拡張機会などの「定期プログラム」

リアル環境における「聖地化」を念頭に以降で5つのコンテンツプレイス事業を検討します。


 
 
 

最新記事

すべて表示
日本的OSはどのように形成されたのか 日本的OS ④

【内容】 自然との共生から始まった「関係性の思想」 武家の倫理と共同体の協調 二重構造と現代的再評価     1.自然との共生から始まった「関係性の思想」 日本的OS──すなわち「空気を読み、相手を察し、秩序を保つ非言語的な社会システム」は、けっして近代に偶然生まれたもので...

 
 
 
揺れる世界、穏やかな日本“見えない秩序” 日本的OS ③

【内容】 怒りと正義が衝突する世界 なぜ日本は「安定」して見えるのか 日本的OSは“思想資本”になり得るか     1.怒りと正義が衝突する世界 現代の世界は、まさに「揺れている」と表現すべき時代に突入しています。 ウクライナ戦争やイスラエル・パレスチナの紛争、米中による経...

 
 
 
日本的OSとは何か 日本的 OS ②

【内容】 「見えないのに、確かにある」――OSとしての日本文化  「心地よさ・信頼・関係性」――三本柱から成るOS構造 世界が見直し始めた「日本的OS」の価値     1.「見えないのに、確かにある」――OSとしての日本文化...

 
 
 

Comments


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page