ビジネスパーソンの生産性を高める方法として、「マインドフルネス」が注目を浴び出して、
10年以上になります。その理由と仏教界の受け止め方を整理します。
【内容】
マインドフルネスとは
「黒船」としてのマインドフルネス
マインドフルネスの流行と仏教界の戸惑い
1.マインドフルネスとは
仏教、特に禅宗に近い活動として、近年注目を集めているのが「マインドフルネス」です。
マインドフルネスという言葉を広めた創始者は、米国マサチューセッツ大学医学部教授の、ジョン・カバット・ジン博士です。
禅の指導者に、瞑想をはじめとした修行法と、その教えを学んだ博士は、そこからエッセンスを抽出し、「宗教と関係なく一般の人にも取り組みやすいツール」として、1979年にマインドフルネスの考え方と練習の方法を提唱しました。
マインドフルネスは、医療の臨床現場に取り入れられ、ストレス症状を和らげるための、治療法として用いられているのです。
2.「黒船」としてのマインドフルネス
マインドフルネスの考え方は、もともと東洋の思想に対する西欧人の興味がベースにありました。その起源は仏教にあり、日本には1500年以上前から存在していたのです。
1950年代に米国カリフォルニアを、中心に禅ブームが巻き起こり、瞑想が広がっていきました。その影響を受けた一人に、アップル創業者のスティーブ。ジョブズがいます。
2000年代に入り、脳科学の発展とともに、マインドフルネスが、メンタルヘルスや生産性の向上に、効果があると科学的に明らかにされました。
2007年からGoogle社が、マインドフルネスを企業研修として導入すると、世界的な話題になり、多くの企業やエグゼクティブ・スポーツ選手が追随するようになったのです。
日本には1990年代に入っていましたが、話題になるのは2010年代になってからです。
2013年には日本マインドフルネス学会が設立されます。
まさしく、マインドフルネスは「黒船」のように襲来し、日本のビジネスパーソン達に逆輸入されたのです。
3.マインドフルネスの流行と仏教界の戸惑い
もともと同様の活動をしていた仏教界は、この動向をどう受け止めているのでしょうか?「禅から宗教的・修行的な要素を除き、マニュアル化したのがマインドフルネス」と定義され、流行するほどまでの推進力得たことを評価しつつ、仏教情報誌では「マインドフルネスが一般社会で受容されている事実は、釈尊の教えが現在でも色褪せていないこと、その教えが現代人の要請に応えている証左である」とコメントしています。
「これだけ流行する理由を知らなければならない。マインドフルネスの内容に真新しいものはないと感じたが、瞑想についての詳細な分析や一般人へのわかりやすい発信の仕方が、とても参考になった」とも分析しています。
「科学的なエビデンスの重視」や「カルト的な宗教コミュニティへの警戒感」と言う、風潮を踏まえて、【本質的には、時代のニーズへの柔軟な対応という特性を備える、神社仏閣】による今後の巻き返しを期待したいと思います。
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