top of page

プロジェクト推進の未来 ベクトル・メイク ⑩

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 1月15日
  • 読了時間: 3分

【内容】

  1. 都市開発プロジェクトの手順

  2. 未来に踏み出す

  3. 都市開発の成功とは

 

 

 

1.都市開発プロジェクトの手順

都市開発関係の仕事に就いて30年余りになりますが、以前から疑問に思っていたことがあります。

それは「どうして何度も、何度も、計画を作り直す手戻りが起こるのか?」と言うことです。

基本構想のステップで、主な用途や構成を一通り検討します。

それが敷地や法的条件を踏まえた基本計画

構造や設備の概略計画を含む基本設計

そして施工方法や費用を反映した実施設計

というようにステップを踏んで進んでいくのですが、特に基本計画段階では、担当者が変わるたびに、何度も計画し直すことが少なくありません。

前提条件が認識共有されていないのか?あるいは引き継ぎや情報伝達がうまくいかないのか?非常に無駄が多いプロセスだと実感していました。

ハード前提で建築図面による可視化を中心にして議論を進めるから、この無駄が生じるのではないでしょうか? 

映画制作のように、企画・アイディア段階、シナリオ段階、絵コンテ段階、撮影段階というステップで、プロジェクトを推進できないでしょうか?

都市開発の基本計画段階は、映画制作で言うと絵コンテ段階に相当すると想定しますが、「取り敢えずボリュームスタディして欲しい」というオーダーは、「いきなり絵コンテを作ってみてください」に近い指示かも知れません。

事業主体の意図がわからない中で、「絵コンテ」は、アーでも無い、コーでも無いと何度も書き直されるのです。

これは時間とお金の無駄でしかありません。

絵コンテの元になるアイディアやシナリオが必要なのです。

 

2.未来に踏み出す

開発コンセプトを検討するという行為は、プロジェクトチームがどのような道筋を歩むかを探る作業だと言えます。

ゴールを見据えて、現状を踏み固めながら、リソースを活用して、基礎を作っていく作業に例える事が可能です。

建築図面に至る前に事業主体側で、どんなユーザーやアクティビティを想定して、どのような施設・サービスを配置したいのか?を提示する必要があり、それが開発コンセプトや施設コンセプトのアウトプットなのです。

何をやっても一定の成功を収める事ができる成長社会ではなく、事業性・社会性など様々な要因を加味しながら、開発プロジェクトを推進していく必要がある成熟社会という環境下では、「時代の先行きが不透明だから、もう少し様子見をしていたい」という衝動もあると思います。

このような消極的な衝動を振り切って「一歩を踏み出す勇気」を培うプロセスが、開発コンセプトを通したべクロチメイキングだと考えます。

 

3.都市開発の成功とは

都市開発や街づくりは、どうなれば成功なのでしょうか?

「大量集客できて商業施設が繁盛している状態?」

「オフィスや住宅が、大人気で満室になっている状態?」

いろいろな定義が出来ると思いますが、「その街のファンが沢山いる状態」と定義してはどうでしょうか?

大手食品メーカー「カゴメ」は、株主10万人構想を掲げ、2013年には個人株主が約17万人、総株主のうち99.5%(約6割の株式割合)に及んでいます。

個人株主は長期保有する傾向にある上、月額購入単価が、一般顧客100円に対し、1300円に上っています。

個人株主を増やすための施策は、誠実な情報開示や親密度のあるコミュニケーションに重点を置くことになります。

まさしく「ファン」として、カゴメを支える存在で「ファン・キャピタル」と言い換える事が可能です。

街に必要なのは、街の魅力を支え、共創していく役割を担ってくれる「ファンの存在」ではないでしょうか。

私たちも開発プロジェクトのベクトル・メイキングを通じて「ファン・キャピタル」の醸成を目指していきたいと思います。

 
 
 

最新記事

すべて表示
基本的な視点と三つの戦略 AI共創オフィス ⑥

【内容】 第1章 AIと分散ワークがもたらす働き方の地殻変動 第2章 AI時代の競争力を支える「企業文化」という内的OS 第3章 AI×文化の共創拠点としての企業オフィスとサテライトオフィスの連携     第1章 AIと分散ワークがもたらす働き方の地殻変動 生成AIの進化とリモートワークの定着により、私たちの「働く場所」の概念は大きく変わりました。 業務の多くはオンラインで完結でき、駅ナカや自宅、

 
 
 
AI時代における企業オフィスの課題と方向性 AI共創オフィス ⑤

【内容】 第1章 AIが生む「標準答案社会」と思考の軽量化 第2章 意思決定の“軽さ”がもたらす成長の喪失 第3章 “唯一無二”の判断軸を生むのは、企業文化である     第1章 AIが生む「標準答案社会」と思考の軽量化 現代は、AIの進化とリモートワークの普及によって、私たちの意思決定のあり方が大きく変化しています。 とりわけAIは、「優秀な常識人の標準答案」とも言うべき、整合的で倫理的かつ網羅

 
 
 
オフィス研究の変遷 AI共創オフィス ④

【内容】 第1章:管理のためのオフィス ― 生産性と効率の時代(1900〜1950年代) 第2章:人間中心のオフィス ― 働きがいと組織文化の時代(1960〜1980年代) 第3章:知識と多様性の時代 ― IT革命と新しい働き方(1990〜2010年代)     ここでオフィスの進化を先導してきた「オフィス研究」の変遷について、お整理しておきます。 第1章:管理のためのオフィス ― 生産性と効率の

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page