ネオ生業のイメージ ネオ生業の時代 ②
- admin
- 4月7日
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ネオ生業の特性
ベンチマークとしての「高知の日曜市」
ネオ生業の業種イメージ
1.ネオ生業の特性
生業とは一般的に「生計を立てていくための仕事」と訳されますが、これだけではよくわからないので、会社員との対比で生業のフレームを浮かび上がらせたいと思います。
収入・報酬:会社員が定額給与制なのに対して、ネオ生業は専門性を活かした歩合制の報酬
立場・裁量:会社員が分業・間接関与であるのに対して、ネオ生業は全体・直接関与の立場
能力・労力:会社員が頭脳・事務なのに対して、ネオ生業は現場・手仕事が中心
もう少し掘り下げていくと 「環境民俗学」の分野で、注目を集めている「マイナーサブシステンス」という概念が浮かび上がってきます。
これは経済的には「主軸にならず」、成果や収穫は「変動が大きく」、作業としては「けっこうきつい」が、その楽しさにはまると「なかなかやめられない」という 「遊び仕事」的な特性のある仕事(東京大学 松井健氏)と解説されています。
具体的には山菜、きのこの採集やニホンミツバチの養蜂、川やため池、水田での漁撈やカモ猟、定置漁具を使った海の漁などが挙げられており、伝統的なコミュニティの中に組み込まれていた仕事といえます。
2.ベンチマークとしての「高知の日曜市」
さらにネオ生業のベンチマークとして「高知の日曜市」を提示したいと思います。
高知市の「日曜市」は、300年以上の歴史を持つ伝統的な青空市場で、毎週日曜日に開催されます。
全長約1kmにわたる追手筋沿いに約300~400店が並び、17,000人(2005年調査)の人たちが訪れます。
新鮮な野菜や果物、海産物、郷土料理、工芸品など多彩な商品が販売され、出店者と客の温かな交流が特徴で、観光客にも地元の人々にも愛されています。
江戸時代から続くこの市場は、高知の食文化や地域コミュニティの象徴ともいえます。
1日の売り上げは一店当たり1万円〜4万円と決して高くありませんが、出店料が2000円強(一般的なフリーマーケットは5000円程度)と安く抑えられていることもあり、売り上げが少なくてものんびりお店を構えています。
その魅力は下記のように整理できます。
お客さんとの交流が楽しい
日曜市は観光客だけでなく、地元の人たちも多く訪れるため、出店者とお客さんの距離が近いです。リピーターが多く、「また来たよ!」と声をかけられることもあるので、自然と会話が弾み、商売が楽しくなります。
競争よりも協力の雰囲気
普通の市場や商店街と違って、日曜市は出店者同士のつながりが強いです。互いに助け合ったり、おしゃべりを楽しんだりすることで、和気あいあいとした雰囲気が生まれます。
自分のこだわりを直接届けられる
農家の人が自分で育てた野菜を売ったり、職人が手作りの工芸品を並べたりすることで、商品に込めた思いやこだわりを直接伝えられるのが魅力です。お客さんが喜んで買ってくれると、大きなやりがいを感じます。
お祭りのような活気がある
日曜市はただの市場ではなく、高知の文化の一部です。観光客も多く、にぎやかで活気に満ちているため、出店すること自体が楽しく感じられます。
自由度が高い
大規模な商業施設に出店するのとは違い、日曜市は比較的自由に自分のスタイルで商売ができます。早朝から準備する大変さはありますが、自分のペースで仕事ができるのも魅力です。
このような「高知の日曜市」魅力は、「楽しみながら少しだけ稼ぐ」ことができる「ネオ生業」の参考にできると思います。
3.ネオ生業の業種イメージ
都心の会社仕事と並走しながら、「自分の興味と得意」とを活かして「居場所と出番」を見つけていくライフワークとして「ネオ生業」が求められる時代になると考えます。
高知の日曜市のように「楽しみながら少しだけ稼ぐ」ことができる商売や方法を例示します。
ハンドメイドアクセサリー販売
趣味で作ったアクセサリーや小物をイベントやオンラインで販売。
屋台スタイルのスイーツ販売
簡単なスイーツや軽食・カフェを屋台形式で提供し、手軽に売上を得る。
アート・クラフトのワークショップ
自分の技術を活かし、参加者に体験型レッスンを行い参加費を得る。
手作り食品の販売
自家製ジャムやパン、ピクルスなど、家庭の味を活かした商品を出す。
ガーデニング体験イベント
植物の育て方を教えたり、実際に植え付け体験を提供して参加費を収入に変える。
フォトブース運営
面白い背景や小道具を用意した撮影ブースで、記念写真撮影を提供する。
古着リメイク&販売
古着をおしゃれにリメイクし、個性あふれるファッションアイテムとして販売する。
読書会・ブックカフェイベント
本にまつわる交流イベントを開催し、ドリンクや軽食の販売を組み合わせる。
手作りキャンドルや香りグッズの販売
自作のキャンドル、アロマグッズを展示・販売し、趣味と収入を両立させる。
ワンオペ飲食店
屋台(キッチンカー?)やスタンド、横丁、スナックなどの小規模飲食店。
ネオ生業は、基本的には各人が無理のない範囲で、営業していくわけで、週日は研究・製造して週末だけ営業する店舗になるかもしれません。
初期投資をかけた豪華な店舗で、高単価・高回転・早期回収を目指すビジネススタイルでないことは確かです。
GDPの増加にはそれほど貢献しないかもしれませんが、ローリスク・ローリターンで幸福度の高いライフスタイルが可能になるのではないでしょうか。
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