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シン地縁インフラになる「ワンダー【空感】ミュージアムとしての神社:社寺再考 ⑦

神社は本来、自然崇拝を起源にしています。そして現状は、地域コミュニティの中心として、「信頼される存在」になっています。このあたりに、次世代の神社のあり方を考える基点がありそうです。

【内容】

  1. 江之浦測候所というベンチマーク

  2. 神社とは「凝縮された大自然」

  3. 「大いなる自然」と見立てる設え


1.江之浦測候所というベンチマーク

「江之浦測候所」とは、現代美術家の杉本博司氏が手がけた伊豆半島にあるアート空間です。かつてミカン畑だったの斜面に、ギャラリー、野外舞台、茶室、庭園が広がり、自然とアートを自由に体感する空間になっています。測候所の名称に込められたように、「夏至光逍拝ギャラリー」及び「冬至光逍拝隊道」は、夏至と冬至の朝に海から登る太陽光が駆け抜けるように設計されています。「アートとは自然を反響させる写し鏡である」という考え方が凝縮されています。その他にも、水平線と一体になる「光学硝子舞台」や、重さ23トンの巨岩を使った石舞台、樹齢1000年の屋久杉でできた中央テーブルなど、大いなる自然(=神)を象徴する設えが、随所に配置され、悠久に想いを馳せさせる空間になっているのです。


2.神社とは「凝縮された大自然」

お参りとは「お願い事」ではなく、自然とつながり、神様との約束を通じて「心を整える事」だと整理しました。

古来、日本人は自然を神様に見立てていました。神様は天にいて、時々怒ると雲が湧き、激しい雷が落ちる。それを地上でコンパクトにしたのが神社なのです。

「しめ縄は雲、鈴は雷鳴、紙垂は稲妻」を表しています。雷は昔を「神鳴り」と書いていました。雲、雷鳴、稲妻をイメージしながら、「神様おいで下さい」と手を合わせる。大いなる空を見上げるようにお参りする場所が神社です。

神社とは、地域コミュニティだけでなく、大いなる自然との繋がりの中で、自分たちの存在を振り返る機会(=シン地縁)を提供するインフラと言えるのではないでしょうか。


3.「大いなる自然」を見立てる設え

神社には、「大いなる自然」を取り込む様々な設えが有ります。

最もわかりやすい事例が「富士塚」です。富士塚とは、江戸時代に盛んになった富士信仰に基づき、富士山に模して造営された人工の山です。江戸中期に各地に富士講が生まれると、富士塚も多数作られ、都内に50箇所ほど現存するといわれます。

また神社には、様々な「動物」が配されています。神社を守る存在としての「狛犬」、農業の神の使いとされる「狐」、学問の神:天神さまと縁の深い「牛」、多産で子育てにも長け、家族の幸福のシンボルになった「猿」、弁財天の使いとしての「白蛇」などが挙げられます。

さらに社寺に設けられることの多い「日本庭園」も、調和のとれた美しい自然(山水)を凝縮したものです。大自然、景勝地、名所などを庭園サイズに縮尺しつつ再構成する「縮景」や、外界の眺めを取り入れながら、山や木に傷(加工、破壊)つけずに人間側に引き寄せる「借景」、各種樹形のつくりとしたてもの、刈り込み物として、手入れを施す「植藝」、石灯籠の苔や鞍馬石の味わいなど、庭園要素の時間的経過を感じようとする美意識としての「然美(さび)」などの手法が駆使されています。


「神社とは、都市のシン地縁インフラとなるワンダー【空感】ミュージアムである」として、その存在価値を見直してはどうでしょうか。

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