【内容】
シェアオフィスの定義
シェアオフィスの主な種類
米国WeWork破綻の教訓
1.シェアオフィスの定義
シェアオフィスとは、一つのオフィスフロアを、複数の事業者が共同で利用するオフィスのことを指します。
レンタルオフィス、サービスオフィス、コワーキングオフィス、サテライトオフィスなど様々な呼称があります。
アクセスの良い都心の立地が多く、広々としたフロアを複数の事業者で共有しています。
会議室や談話室など共用施設が用意されていたり、住所登録できたり、郵便の受け取りや電話応対サービスが付帯しているものなど、さまざまな形態のシェアオフィスがあります。
2.シェアオフィスの主な種類
サービスオフィス
個人事業主や小規模企業や、大企業のプロジェクトチームの拠点として利用されるタイプです。
従業員が集まりやすい都心部に立地し、一般的なオフィスと比べて、短期間・小区画で柔軟性が高い契約が可能になっています。
什器やネット環境が整備されていることが多く、初期費用を抑えて、すぐに事業を開始できるオフィス環境が用意されています。
【主な事例】
外資系:Regus、サーブコープ、WeWork、 不動産系:ワークスタイリング(三井不動産)、ビジネスエアポート(東急不動産)、SENQ(中央日本土地建物)など
テレワーク支援オフィス
企業がテレワークの場として契約するもので、都心部のビジネスエリアから、郊外・地方へと広範囲に多拠点展開されています。
拠点ネットワークな中で、自宅近くや取引先・出張先近くなど、その日の都合に合わせて拠点を選び、分単位〜1日単位で利用されます。
オフィスビルのフロアを利用する他、一人用個室ボックスとして、駅などの公共スペースに設置される場合もあります。
【主な事例】
ビル内展開:シェアラウンジ(CCC)、XZY(ザイマックス)、 H1T(野村不動産)、駅展開:ステーションワーク( JR東日本)、CocoDesk(東京メトロ)など
インキュベーションオフィス
起業家や大企業の新規事業開発部などが、入居者同士の交流イベントやマッチング、メンターによるアドバイスなどにより、オープンイノベーションを起こすことを目的にしています。
運営には公的機関や大学などが関わっていることが多いのも特徴です。
【主な事例】
企業系:EGGJAPAN(三菱地所)、31 VENTURES/BASE Q(三井不動産)、Plug&Play(東急不動産)、公共系:東京創業ステーション、
コミュニティ型コワーキングオフィス
フリーランスや個人事業主・スタートアップなどが交流とコラボレーションを目的に利用します。
オープンスペースやイベントスペースが充実し、コミュニティマネジャーによるサポートやプラットフォームアプリなどにより、ビジネスに活かせるコミュニティが形成されやすいという特徴があります。
【主な事例】
Co-lab, CO-BA,ほか地方都市の独立系コワーキングスペー
ワーケーションオフィス
自然豊かな地域や観光地などの非日常空間で働くワーケーション利用に対応したオフィスで、休暇の旅行に合わせて働いたり、企業の複数人での研修利用が想定されています。
【主な事例】
全国各地のゲストハウス併設オフィスなど
3.米国WeWork破綻の教訓
2023年11月に米国の WeWorkが、日本の民事再生法にあたる申請を行いました。孫正義氏のビジョンファンドも出資し、最盛期には時価総額が7兆円を超えて、 Airbnb やUberと並びシェアリング企業の雄と言われた会社でした。
日本法人は2024年2月にソフトバンクが事業を継承する形で、営業は存続している状況です。
WeWorkの破綻の原因は、オフィスビルを転貸するビジネスモデルのため、元のオフィス床賃料の支払いが膨らみ、原価率が9割近くになっているためでした。
シェアリングビジネスは「空いた時間・空間のマッチング」モデルだからこそ、固定費がかからず原価率が低い事が強みのはずでしたが、 WeWorkは全く違ったわけです。
大手ディベロッパーをはじめとしたサードワークプレイスの新規参入組も、この辺りの事業構造を踏また戦略を描かないと、手酷いしっぺ返しを喰らうのではないでしょうか。
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