都市開発において非常に重要な役割を担う低層部の「街ぎわプレイス」ですが、通常は総合設計制度などを活用するために公開空地として計画されます。
営利利用が認められない為に、ビル風が吹き抜ける寒々しい公開空地がほとんどではないでしょうか。最近になって、公開空地のあり方について議論され始め、ランチタイムにキッチンカーが営業していたり、外向きのカフェが設けられる事例も見られますが、その場所をどのように活用するのか?について、企画・構想コンセプトから丁寧に検討された事例は、非常に少ないのが現状です。
「街ぎわプレイス」とは、当該建物の低層部から公開空地などの外構部、さらには街路や対面建物を含む部分を指します。
前述したように、コロナ禍を経て「リアルな都市の価値」が問われる社会環境になりました。日常的な活動舞台として、そして企業の経営資源として、「街ぎわプレイス」は非常に重要な役割を担う場所と言えます。その場所では、「不特定多数の人を集めるイベント広場的な利用が求められるのか?」あるいは「建物ユーザーを中心としたコミュニティ醸成の場として利用されるのか?」など、事業主体が企画・構想コンセプトとして設定した方向性に基づいて、利用対象と利用目的に対応した与件として、建築設計者に手渡すべきだと考えます。
街ぎわプレイスのあり方を検討するために、第1レイヤー:アクティビティレイヤー/ 第2レイヤー:MD・施設レイヤー/第3レイヤー:建築・環境レイヤー の3つのレイヤーで分析します。
基本的には第1レイヤーを実現するための要素として、第2第3レイヤーを計画することになります。
近年は国交省系の国土技術政策総合研究所などが「広場づくりのコツ」について、丁寧なガイドブックを作成しています。回遊核としての位置どりや、周縁、アクセントの作り方などにも触れられていますが、幅広い人たちを対象にして、目的も賑わいづくりにおかれている為、一般的過ぎて、実用的では無いと考えます。
コロナ禍を踏まえたリアル都市の価値を高めるために、対象や目的に合わせた街ぎわプレイスづくりを設計与件として、提示すべきではないでしょうか。
都市の街ぎわプレイスにおける第1レイヤーのアクティビティでは、「クリエイティブの誘発」が求められると想定します。そのためには、どんな人たちが、どんな活動をしている状況が望ましいのか?を想定する必要があります。
第2レイヤーでは、そのアクティビティを促すためには、どのような商業や施設・サービスが提供される必要があるのか?を想定します。
第3レイヤーでは、想定アクティビティを促し、想定する施設・サービスを提供するための建築・環境の配置や断面形状が対応します。
次回以降で詳細説明していきます。
댓글