top of page
検索

コンセプト再考 ⑧ 建築・環境レイヤーの考え方

建物低層部と街との関わり方について、企画・構想コンセプトとして何も提示がなければ、どうなるでしょうか?建築設計では公開空地を確保しながら、上下動線及び管理面からの条件を元に、コアの位置が設定され、ビルのステイタス空間としてのエントランスを計画してしまいます。こうして何となく設けられた公開空地と、ガランとしたロビースペースとが生まれるのです。

本来は、街ぎわプレイスで生み出したいアクティビティを想定し、それを支えるMD・施設の配置を前提に、低層部の建築・環境レイヤーの計画を練って行くべきなのです。

建築・環境レイヤーにおける街との関わりの方向性は、平面と断面のパターンで提示することが可能です。

平面的な関わりパターンは、縦軸に開放性の強弱、横軸に賑わい性の強弱を設定すると、4種類になります。 【①開放・強/賑わい・強】:開放的で周りの賑わいにつながっていく低層部イメージです。コレド室町の路面店街がベンチマークになります。 【②開放・強/賑わい・弱】:開放的ですが、緑を重視してつながっていくイメージで、東京ミッドタウンがベンチマークになります。 【③開放・弱/賑わい・強】:囲われた中に賑わいを作るイメージで、六本木ヒルズがベンチマークです。 【④開放・弱/賑わい・弱】:緑豊かな中庭のイメージで、丸の内ブリックスクエアがベンチマークになります。このように想定すると、どのパターンに近い利用をしたいのかが、明確になります。

また断面的な関わりパターン5種類想定されます。①外向き店舗の配置が基本になり、②カフェテラス的に外部への滲み出すパターン、③さらに外部にアクティビティの受け皿となる独立店舗などの施設を配置するパターン。④それとは逆にサンクンガーデンなどで内に取り込むパターン。⑤さらに大屋根などで半屋内の広場化するパターンに整理されます。

もちろん公開空地の制約や様々な敷地条件があるため、簡単なパターン採用は難しいと思いますが、企画・構想コンセプトでは低層部において、どのような「街ぎわプレイス」を作り出したいのか?を提示する必要があるのです。建築設計は、提示された方向性を如何に具体的に落とし込んでいけるのか?が腕の見せ所になると言えます。

最新記事

すべて表示

【内容】 1.墨田区立川3丁目の奇跡 2.地域の再構築 3.「初心者1st」で組み上げ直す 1.墨田区立川3丁目の奇跡 廃れた「お祭り」を、「子ども」をきっかけにして復活させた事例があります。 20年以上前は、神輿の担ぎ手は同好会頼り、盆踊りは高齢者のカラオケ大会になってしまい、新しい担い手が寄り付かなかった「立川3丁目の夏祭り」は、地元の久保田健一さんの奮闘を中心に、蘇りました。 神輿の担ぎ手を

【内容】 1.これまでの振り返り 2.お祭りの構造を再考する 3.お祭りアップデートの方向性 1.これまでの振り返り ①全国に30万あるといわれる日本の「お祭り」は、2016年「山・鉾・屋台行事」,2021年「来訪神:仮面・仮装の神々」として、ユネスコ登録され注目を浴びます。華やかで参加性もあり、インバウンドにも人気な一方で、担い手不足などで、消滅の危機に瀕した祭りが多い状況です。 ②お祭りとは、

【内容】 1.「〇〇不足」の根本原因 2.日常と非日常とのズレ 3.誰のためのお祭りなのか? 1.「〇〇不足」の根本原因 「お祭りの魅力・効用」と同様に、「お祭りの課題」として挙げられるの、下記の4点です。 ①人手不足 ②資金不足 ③宣伝不足 ④アイディア不足 では、何故このような「〇〇不足」に陥るのでしょうか? お祭りの魅力が、「日常の中の、非日常性によるガス抜き」だとするなら、この「日常と非日

bottom of page