top of page
検索

コンセプト再考 ⑩ コンセプトの未来

都市開発関係の仕事に就いて30年余りになりますが、以前から疑問に思っていたことがあります。それは「どうして何度も何度も手戻りが起こるのか?」と言うことです。

基本構想のステップで、主な用途や構成を一通り検討します。それが敷地や法的条件を踏まえた基本計画、構造や設備の概略計画を含む基本設計、そして施工方法や費用を反映した実施設計というようにステップを踏んで進んでいくのですが、特に基本計画段階では、担当者が変わるたびに、何度も計画し直すことが少なくありません。前提条件が認識共有されていないのか?あるいは引き継ぎや情報伝達がうまくいかないのか?非常に無駄が多いプロセスだと実感していました。

ハード前提で建築図面による可視化を中心にして議論を進めるから、この無駄が生じるのではないでしょうか? 映画制作のように、企画・アイディア段階、シナリオ段階、絵コンテ段階、撮影段階というステップで推進できないでしょうか?

都市開発の基本計画段階は、映画制作で言うと絵コンテ段階に相当すると想定しますが、「取り敢えずボリュームスタディして欲しい」というオーダーは、「いきなり絵コンテを作ってみてください」に近い指示かも知れません。事業主体の意図がわからない中で、「絵コンテ」は、アーでも無い、コーでも無いと何度も書き直されるのです。時間とお金の無駄です。絵コンテの元になるアイディアやシナリオが必要なのです。

これがコンセプトを再考すべきだと実感した背景です。

建築図面に至る前に事業主体側で、どんなユーザー・アクティビティを想定し、どのような施設・サービスを配置したいのか?を提示する必要があり、一連のアウトプットがコンセプト・プランニングなのです。思いつきやキャッチフレーズでは無いですし、ましてや「お題目」ではありません。コンセプトづくりは、計画与件をアウトプットするための、プロフェッショナルなプランニング業務であると考えます。

最新記事

すべて表示

【内容】 1.これまでの振り返り 2.お祭りの構造を再考する 3.お祭りアップデートの方向性 1.これまでの振り返り ①全国に30万あるといわれる日本の「お祭り」は、2016年「山・鉾・屋台行事」,2021年「来訪神:仮面・仮装の神々」として、ユネスコ登録され注目を浴びます。華やかで参加性もあり、インバウンドにも人気な一方で、担い手不足などで、消滅の危機に瀕した祭りが多い状況です。 ②お祭りとは、

【内容】 1.「〇〇不足」の根本原因 2.日常と非日常とのズレ 3.誰のためのお祭りなのか? 1.「〇〇不足」の根本原因 「お祭りの魅力・効用」と同様に、「お祭りの課題」として挙げられるの、下記の4点です。 ①人手不足 ②資金不足 ③宣伝不足 ④アイディア不足 では、何故このような「〇〇不足」に陥るのでしょうか? お祭りの魅力が、「日常の中の、非日常性によるガス抜き」だとするなら、この「日常と非日

【内容】 1.お祭りの非日常性 2.お祭りの参加体験 3.ガス抜きの仕組み化 1.お祭りの非日常性 一般的にシンクタンクなどが提示する「お祭りの魅力・効用」は、下記の4つです。 ①経済効果 ②交流の場、信頼構築 ③歴史・伝統の継承 ④観光活用 では、何故このような効用があるのでしょうか? そもそも「お祭り」の重要な機能は、「非日常性」の提供にあります。 日常生活に完全に満足しているという人は、ほん

bottom of page