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コンセッションのミライ シンコンセッション ⑬

  • 2024年3月13日
  • 読了時間: 5分

【内容】

  1. 文化施設コンセッションの効用

  2. 文化都心マネジメントへの昇華

  3. 次世代の都市価値を創造する

1.文化施設コンセッションの効用

「A:地力の向上」「B:多様な文化体験の提供」「C:企業活動との連携」などの施策を展開することによって、文化施設では下記のような効用が想定されます。


      1.文化施設にとって

文化施設変革の効用として、まず挙げられるのは「コスト補填」や「観光集客」です。文化施設にレストランなどの事業施設を隣接させる事によって、その収益で運営コストを補填したり、謎解きゲームやスタンプラリーなどのプロモーションで、観光客を集めるなどの手法です。

このような周辺での施策に加えて、本シリーズでは、「文化サードプレイス」としての文化施設のあり方を検討してきました。

  2.市民にとって

人が生きていく上で、これまでになかった「何か?」を作る事がアートだと考えます。アートにおいて「表現」とは結果で、その本質は「発見」にあるのです。アートの本質である、日常における「発見」とは、人類の進化そのものです。まさに、進化するための「心の基礎体力」がアートだと言えます。現代社会の根本ニーズが求める「何か?」がアートには潜んでいるのではないでしょうか?経済活動だけ、損得勘定だけのドライな関係は、分かりやすいですが、ギスギスしてしまいます。そしてコスト高な上に、将来への不安が付き纏います。この将来不安は過度な防衛反応になり、現状維持思考で不寛容な社会につながります。

不安、コスト高、消費意欲の減退など、「現代日本の閉塞感」に対する対応策・処方箋となる「心のフィットネスセンター」として、「文化サードプレイス」は非常に大きな役割を担うのではないでしょうか。 

      3.企業にとって

企業はマス広告に変わる新しいマーケティング手法を模索しています。スポーツやエンタメなどのスポンサードを通じて、その競技およびチームや選手のファンとの「共感」を得ようとして、スポンサー料を支払うのですが、まだまだロゴの露出程度の活用に留まっているようです。文化施設では、アートを通じた顧客との共創関係の構築が可能です。

また、従業員の福利厚生や学生採用、企業研修やR& Dにおいても、ミュージアムを舞台にした共創活動は有効です。

文化施設は、企業の多彩な共創センターでもあるのです。

そして自治体にとって文化性及びシビックプライドと、事業性とを両立することが可能になります。このような効用に加えて、より一層踏み込むことで、「さらに高次元の価値創造」が、可能になると考えます。


2.「文化都心マネジメント」への昇華

従来の文化施設コンセッションは、「対象」は文化施設に限定され、「ゴール」は収益性の向上であり、まちづくりにおける「位置付け」は、集客とされてきました。

もちろんこれでも良いのですが、このスタンスでは、巻き込める事業者の幅も規模も限定的になってしまいます。

年間利益が、数千万円〜数億円という規模では、東京の大企業はもちろん、地元企業以外には、なかなかコミットし辛いのが実情です。

知人の大手ディベロパー・スタッフも「文化施設のコンセッション案件は、手間の割に収益性が低いため、社内決済をとるのが難しい」と苦笑していました。

やはり最終的により大きな成果に結びつくような、ストーリーが必要なようです。

そこで、戦略的にまちづくりに結びつくようなビジョンを掲げてはどうでしょうか?

「文化施設及び周辺街区」を対象にして、「文化都心マネジメント」をゴールにした「ソフトインフラ構築」事業に見立てるのです。

「文化都心」とは、六本木ヒルズの開発コンセプトにもなった概念で、オフィス、商業、住居などが文化施設と一体となった都市開発を意味します。

本研究会アドバイザーの橋爪 紳也氏は、英国の「バービカンの街づくり」や、自身も関わる「大阪城周辺の街づくり」を例示されています。

もちろん物理的に一体化することは難しいですが、エリアマネジメントのスタンスで、周辺の価値向上を図りながら、都市開発に結びつけるのです。

将来的には、物理的な床を保有しなくても、価値向上の果実を収穫することが可能になると考えます。

3.次世代の都市価値を創造する

都市の魅力は、規模の経済に支えられた「利便性」だけでしょうか?

技術革新の進展とコロナ禍の経験を経て、買い物するだけ、仕事するだけの「利便性」に関しては、オンラインで事足りると言う認識が共有できたのではないでしょうか。

私たちは「利便性」以外の都市の魅力として「知縁」と「寛容」が挙げたい体と考えます。

「地縁」ではない「知縁」が、「しがらみ」ではない「寛容」こそが、都市ならではの特性と言えるのではないでしょうか。

この「知縁・寛容」は、「文化都心マネジメント」がもたらす、「ソフトインフラ」だと考えます。

「知縁・寛容」を両輪にして、都市に関わるさまざまな人たちに多彩な価値提供を可能にしていると思います。


  1. 働く人にとって、「知縁・寛容」を基盤にした「交流・挑戦」行動が、企業イノベーションにつながるのではないでしょうか。

  2. 遊ぶ。訪れる人にとって、「知縁・寛容」が、「自由・出会い」行動を促し、変化に富む体験機会を得ることができるのではないでしょうか。

  3. 学ぶ人にとって、「知縁・寛容」を元に、学生ならではの「挑戦・発見」行動が可能になり、個人及び学術の進歩に寄与すると考えます。

  4. 住む人にとって、「知縁・寛容」の環境で得られる体験が、「生きがいや愛着」に繋がると考えます。

 
 
 

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