街ぎわプレイスおける表現・交流を促す OS方策というと、「歩行者天国にしてイベントを開催しよう」と言う議論に行きつきます。イベントと祭りの違いは参加者が鑑賞者の立場に終始するのか?時にはキャストとして演出に一役買う立場になるのか?にあると言われます。単なるイベントでは一時的に賑わいますが、その場限りで終わってしまう可能性が多いのです。
これを変革するヒントが「ハロウィーン」にあると考えます。近年ハロウィーンは急速に盛り上がってきました。市場規模は約1200億円(2019年日本記念日協会)とバレンタインを抜き、7000億円市場のクリスマスに次ぐ規模に成長しています。ハロウィーンの魅力は何と言っても「仮装」で、一種の変身と言えます。 東京渋谷や大阪道頓堀は仮装した若者たちで溢れ街丸ごと仮装パーティ状態です。普段の自分ではない非日常感を楽しみ、SNS 受けも含めて仲間と一緒に騒げるところが、好評な要因のようです。
日本人は普段は恥ずかしがり屋で控え目で礼儀正しいという印象がありますが、新橋で酔っ払ったサラリーマンの変貌ぶりがよくニュースになるように、抑圧され鬱積したストレスが、酒の力を借りて一遍に噴出させることがあります。ハロウィーンもこれに似た効用があると感じます。
もう少し穏やかな事例としては渋谷で始まった「グリーンバード」というゴミ拾い活動があります。お揃いの緑のビブスをきた若者たちが定期的にゴミを拾う活動で、国内外で75都市に広がっています。発案者の長谷部 健(現渋谷区長)さんは「朝の合コンという緩い感覚」で呼びかけたと言います。各チームは拾うゴミの量ではなく、会話しながらプロセスを楽しみ参加者同士でつながり、どのようなエピソードに出会ったかを大切にしています。良い事を緩く面白そうなコンセプトで包むからこそ普及して行ったのだと思います。
巨大な人工物に固められ自己裁量感が乏しい現代都市では、非日常空間を設定することによるガス抜きは極めて重要で、もっと積極的に仕組み化していく必要があると考えます。人は舞台と役割と(そしてちょっとした小道具)を提供することで、プチ変身でエリア限定、時間限定での「お祭り」に参加して非日常感を味わうことは、「個」を覚醒させ普段とは異なるフラットな関係と創造力を生み出すことにつながると考えます。
ディスニーランドの中ではミニーマウスのキャップを付けた方がハシャげますし、静岡で行われる大道芸のワールドカップでは、来街者もスポンジでできた赤い鼻をつけて「祭りに参加」しています。体験価値を高めるOS方策として「プチ変身」を伴う「祭り&キャスト化」は有効だと考えます。
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