top of page

グランドレベル革命 ② 街ぎわプレイスの現状

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2022年7月6日
  • 読了時間: 2分

街ぎわプレイスの現状を確認してみると、街なかの幹線道路では電線地中化により、電柱がない場所が増えました。歩道は広くなり舗装材も新しくなり、街路樹も立派になりました。確かに街並みは綺麗になったと言えます。

オフィスビルの1階には、午後3時には営業を取りやめ、賑わいを阻害するとされた銀行ではなく、洒落たカフェなどの店舗が入居するようになりました。広場や駅前にはパブリックアートもふえました。無粋と言われた工事現場の仮囲いもデザインされるようになりました。街並みは美しくなったのですが、その反面、道端の屋台はそのほとんどが取り締まられて姿を消してしまいました。路上ライブ・ストリートダンスや大道芸などのパフォーマンス行為は規制の対象となり、予め設定されたスペースでのみ可能になっています。ボール遊びについては、路上はもちろん公園でも禁止されることが増えました。このように、どんどん締め付けが厳しくなり、飲食やスポーツはお金を払って消費者の役割を果たさなければ、街なかでは過ごせなくなってきています。高層ビルに付帯する公開空地は原則的に営業行為が規制される為、人が佇むことなく、殺風景になってしまっています。

いつの間にか公共スペースにおいて様々な禁止事項を課されることに違和感を覚えなくなり、都市では消費に依存したライフスタイルを従順に受け入れるようになっています。都市計画家のヤン・ゲールが「良い街には、歩いていない人が、溢れている」と言う知見を述べていますが、私たちの公共スペースは、かえって不自由になっているのではないでしょうか。

日本人はルールが定められると、それに従いながら工夫を重ねる反面、敢えてルールをはみ出したり新たなルールを作ったりする事が苦手なようです。さらに言うと自分が我慢しているルールに関しては「自粛警察」のように、他人にも強要する圧力をかけようとします。

一方でコロナ禍により密状態が敬遠され、外部空間活用への関心が高まりました。行政では公共空間の有効利用に向け、公園・水辺などの民間運営が促進される潮流が顕著になっています。道路行政においてもMaaS &自動運転を睨み、駅前広場を含む道路活用が検討され始めました。これまで「官」「民」それぞれの領域の中で、独自の論理で利用されてきた街ぎわプレイスを再編成する必要があるようです。


 
 
 

最新記事

すべて表示
基本的な視点と三つの戦略 AI共創オフィス ⑥

【内容】 第1章 AIと分散ワークがもたらす働き方の地殻変動 第2章 AI時代の競争力を支える「企業文化」という内的OS 第3章 AI×文化の共創拠点としての企業オフィスとサテライトオフィスの連携     第1章 AIと分散ワークがもたらす働き方の地殻変動 生成AIの進化とリモートワークの定着により、私たちの「働く場所」の概念は大きく変わりました。 業務の多くはオンラインで完結でき、駅ナカや自宅、

 
 
 
AI時代における企業オフィスの課題と方向性 AI共創オフィス ⑤

【内容】 第1章 AIが生む「標準答案社会」と思考の軽量化 第2章 意思決定の“軽さ”がもたらす成長の喪失 第3章 “唯一無二”の判断軸を生むのは、企業文化である     第1章 AIが生む「標準答案社会」と思考の軽量化 現代は、AIの進化とリモートワークの普及によって、私たちの意思決定のあり方が大きく変化しています。 とりわけAIは、「優秀な常識人の標準答案」とも言うべき、整合的で倫理的かつ網羅

 
 
 
オフィス研究の変遷 AI共創オフィス ④

【内容】 第1章:管理のためのオフィス ― 生産性と効率の時代(1900〜1950年代) 第2章:人間中心のオフィス ― 働きがいと組織文化の時代(1960〜1980年代) 第3章:知識と多様性の時代 ― IT革命と新しい働き方(1990〜2010年代)     ここでオフィスの進化を先導してきた「オフィス研究」の変遷について、お整理しておきます。 第1章:管理のためのオフィス ― 生産性と効率の

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page