検索

グランドレベル革命 ⑥ 街ぎわプレイスにおけるOS の必要性

組織や社会を変革する際に「賛同者2割、抵抗者2割、残りの6割はどちらでも良い人達」と言われます。街ぎわプレイスの活用においても、積極的な2割の賛同者だけでなく「残り6割」に対して如何に背中を押せるのか?が大切だと考えます。「良い事」を分かっているだけでは人は動いてくれません。「良い事×面白い事」で活用を促す OSに仕立てる必要があるのです。街なかでいきなり自己表現を始めたり、他人に声がけして交流出来る人は少ないと思いますが、話のきっかけになる共有体験があるとスムーズです。連れている犬や子どもがマグネットになったり、イベントや大道芸が共有体験として有効ですが、街づくりの定常的な仕掛けになるのが、パブリックアートだと考えます。西新宿のアイランドタワー前の広場に設置された「LOVEモニュメント」は SNSの背景になることで有名ですが、街の中にコミュニケーションのフックとなるパブリックアートが散りばめられていると素敵ではないでしょうか。屋外彫刻と言われた第一世代、街を彩る巨大アートになった第二世代、利用者のコミュニケーションを促す機会としての第三世代と言う流れを感じます。

期間限定のアートイベントとなった「COWパレード」は非常にインパクトのあるプロジェクトでした。様々な彩色や絵柄が施された牛のモニュメント数十体が、街の彼方此方に設置されるのです。スイス・チューリッヒの発祥で、世界各地に広まり2006年に東京・丸の内でも開催され話題になりました。常設アートから期間限定、さらには芸術祭まで、パブリックにおける「コミュニケーションの誘発」が潮流になっているのです。

さらにソフトなOSの事例として「シブヤ大学」があります。「シブヤ大学」は NPO法人が運営する社会人大学ですが、「渋谷の街をキャンパスにして学ぶ」と言うコンセプトが受けて普及していきました。渋谷という遊ぶ街で学ぶという意外性とともに、カルチャー教室ではなく、大学で教えるという見立てや、普段立ち入れない場所を教室化することで、まず「教える人が集いたくなる構造」を作りました。2割の人を学生にするのではなく、2割の人に講師化して、6割の人を巻き込むのです。積極的に参画しても良いと思う人を如何に増やせるか?が大切だという事例だと思います。大学という見立てを街に展開すると、「シブヤ食と健康学部」や「シブヤファッション研究室」ができるかもしれません。「部活やサークル」も出来ますし、「学食」も可能です。そして大学ですから学生や研究室で「さまざまな社会実験」をすることや「調査研究」も理にかなっています。街との関係が明確になり、一気に街が自分たち事になります。渋谷にオフィスで働くワーカーが、夜や休日に渋谷で別の立場で活動可能になります。渋谷はライスワークとライフワークのハイブリッドの舞台になり、街や人との関係が深まります。大学見立てだけでなく、ミュージアムでも良いですし、学会見立てでも良いのです。ソフトな街のOSが仕込めると、会社員としてだけでなく、個人として動きやすくなると考えます。全く自由に振る舞うことを認めても、人は手掛かりが掴めず身動きが取れなくなってしまいます。「ユルい型」が個人の工夫を促すのではないでしょうか。



最新記事

すべて表示

これまで郊外都市は都心ワーカーにとって、基本的に眠る&休日だけの役割の街でした。働く場と遊ぶ場は都心にあり、その間を往復しながら使い分けしていたのです。ディナーレストランや高級専門店は都心にしかなく、郊外ではランチ対応のチェーンレストランとロードサイドの量販店で我慢するしかありませんでした。この図式が大きく変わります。大人が郊外で過ごす時間が増えるにつれ、多彩な都市型サービス施設へのニーズが高まる

コロナ禍を経て最も「街づくりニーズ」の高まるのは郊外部(郊外都市駅前)になると考えます。これまでは通勤の中継地としか認識されず、都心へ「〇〇分」という時間距離でしか評価されませんでしたが、テレワークの定着しつつある社会では、会社ファーストの立地評価ではなく、生活ファーストで「街が生活舞台」という認識が高まるのではないでしょうか。同時に「どこに住むのか?」の自由度が高まる社会でもあり、人口減少社会に

コロナ禍に伴い住宅選びにおける、都心への通勤条件が大幅に緩和されました。2022年現在もフルリモートは少ないものの、会社への出社は週2−3日というハイブリッド勤務が定着してきました。 これまで居住エリアの選定は、会社への通勤時間を基準にしていただけに、本当にワーク・ライフバランスを考慮できるようになったわけです。「どこででも働け、どこにでも住める時代」になりつつあります。この価値シフトはこれまでの