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グランドレベル革命 ③ かつて路上は市場だった

  • 2022年7月8日
  • 読了時間: 3分

街ぎわプレイスの活用に向けて、そもそもの路上の役割を振り返ってみたいと思います。

江戸時代、諸藩の武士や出稼ぎ労働者などが集まり100万人の人口を抱えた江戸の街は、男女比が8:2と極端な男性偏重の社会でした。江戸で暮らすシングル男子を最大顧客にして、「棒手振り」と言う商売がありました。路上を売り場にして食材・惣菜から日用品までなんでも売り歩く移動販売サービスで、魚や野菜だけでなく、蕎麦、天ぷら、おでんなどの食料品から金魚、鈴虫、風鈴まで、路上での多彩な商売が浮世絵にも描かれています。幕府は社会福祉政策の一環として小資本でも起業可能な路上商売を認めていたと言われます。一部の外食は棒手振りから屋台に変化したモノもありましたが、江戸時代初期は路上が生業が活躍する市場だったのです。その名残りとして昭和40年代まではパン、ラーメン、豆腐、焼き芋などの移動販売が残っていました。

「欧米は広場の文化、日本は道の文化」と言われます。フランスの思想家オーギュスタン・ベルクも「日本の都市の場合、西欧では広場で繰り広げられる活動が、一般に街路を舞台に行われる(空間の日本文化)」と指摘しています。日本では大路(おおじ)や寺社の境内や河川敷などが、ニーズに対応して広場の機能や役割を果たしてきまし、横丁や路地は、私と公の部分が混ざり合う緩やかな空間として、コミュニティが生まれ育つ場所でした。昭和40年代までは打ち水、向こう三軒両隣の掃除などの生活マナーや道端に縁台を持ち出し将棋やトランプなどの生活風景の舞台になっていました。

戦後のモータリゼーションによる自動車の氾濫が、それまで人が中心であった道を自動車中心へと作り替え、大路は人々にとっての広場空間が奪われることになり、路地は防災上の不安や高齢化や老朽化に伴う建て替えなどで存続の危機に直面しています。

「不燃化し道路率を高める」という都市政策の基本スタンスと「自動車を円滑に通行させる」という道路行政とのタッグが、いつの間にか「公共スペースはお上のモノ」という意識を定着させてしまったのです。

「官」と「民」という意識が強い反面、「公・共」の概念が曖昧な日本では、「民地(=所有地内)をどう使うかは自分の勝手」と言う反面で「道路・公園などは『お上』の土地」という認識になり、屋外空間に関して極端に無関心・無責任になっています。屋外空間の活用にあたって、誰の許可を得れば良いかが不明確なため、一部の批判者の声を恐れて、お互いに遠慮し合っている状況です。良い事・楽しい事と分かっていても、屋外空間には敢えて踏みこまないのが良策とされて来ました。現代の都市部では自分の家や店の前の街路樹の根元に花を植え、世話をする事さえ躊躇するような有り様です。もう一度「官」の事情、「民」の事情を再確認し、これを踏まえた再編成を検討・提案したいと考えます。



 
 
 

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