top of page
検索

お祭りの課題 お祭りミライ ⑤

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2023年9月20日
  • 読了時間: 3分

【内容】

1.「〇〇不足」の根本原因

2.日常と非日常とのズレ

3.誰のためのお祭りなのか?



1.「〇〇不足」の根本原因

「お祭りの魅力・効用」と同様に、「お祭りの課題」として挙げられるの、下記の4点です。

①人手不足

②資金不足

③宣伝不足

④アイディア不足


では、何故このような「〇〇不足」に陥るのでしょうか?

お祭りの魅力が、「日常の中の、非日常性によるガス抜き」だとするなら、この「日常と非日常との関係の変化」が、原因と言えるのではないでしょうか?

元々「まつり」は、地域共同体のもので、地域の中で行われ、地域の人が参加し、地域の人が見るものでした。

ですから、そこで許される(騒音、喧嘩、器物の破損などの)非日常の範囲について、地域の中で了解ができていました。

また、ハメを外しすぎた若者には、大人や長老が叱りつけるという形でコントロールが可能でした。


2.日常と非日常とのズレ

しかし人々の移動が盛んになるにつれて、まずお祭りの「観客」に地域外の人間が増えてきます。

このお祭りの観光化は、「東北三大祭り」をはじめ、戦後の多くの有名なお祭りが経験することになりました。

次に1980年代にはいると、多くの祭りで「参加者やパフォーマー」にも、地域外の人間が、取り込まれるようになります。

さらに、「阿波踊り」や「よさこい」「エイサー」「郡上おどり」など、祭りの「舞台」そのものが、地域を飛び出し、全国に広がるようになりました。

こうなると、かつての地域のお祭りのように、その場の全員が、「非日常性を受け入れ、共有」している状況ではありません。

その結果、参加者や観客の非日常と、周辺住民や一般社会の日常とを、無理矢理同居させることになり、「何らかの軋轢」を生むことは避けられなくなります。

この状況を避けるために、ドームや公園などの閉鎖された空間に隔離してしまえば、祭りの非日常性は、一般的なコンサート程度に薄められてしまいます。

また非日常を強制的に排除すると、「地下に潜る形」で実現され、コントロールが効かなくなります。



3.誰のためのお祭りなのか?

この日常と非日常との関係のズレが、お祭りの意義を歪(いびつ)にしています。

「ねぶた祭り」を事業として考えると、コロナ前は一週間に280万人以上の人を集め、GDPの1%を生み出していました。

それでも活動費の2億円の4分の1は補助金で賄われていたのです。

ねぶたの山車の協賛費は、一台当たり600万円と言われます。

ねぶた師が一年かけて作り、材料費や制作費が含まれるため、十分な人件費が残る訳ではないのですが、ねぶた師が儲けていると、イベント感覚で考える地元民も多いと言います。

各地の保存会は、①祭りでの披露②学校などでの教育③記録・保存、を行っていますが、基本的には無償です。


「神事に関わる人に、対価を払う」と言う考え方が浸透していない訳です。

国指定の文化財になると、手厚い補助を受けられますが、学術評価が必要で、変更に厳しい規制がかかります。

県の登録文化財は、間口が広い代わりに、補助対象は、修理などへの一部に限られます。


日常と非日常がズレた状況で、誰のための、何のための「お祭り」なのか?が、あやふやになっていることが、課題の根本原因だと考えます。

 
 
 

最新記事

すべて表示
方策1 シェアリング・プラットフォーム ネオ生業の時代 ⑦

【内容】 第一要件としてのシェアリング シェアリングの有効性 シェアリングの活用事例     1.第一要件としてのシェアリング ネオ生業は「遊び仕事」ですから、収益性は高くなく、通常の商業施設のテナント賃料を払えるわけがありません。...

 
 
 
基本方針 ネオ生業の時代 ⑥

【内容】 これまでの論点整理 プラットフォームの重要性と特性 ネオ生業プラットフォームの3方策     1.これまでの論点整理 組織社会の仕組みがますます巨大化・複雑化する中で、昔ながらの地縁も、昭和的な社縁もなくなり、根なし草状態の都市住民。...

 
 
 
推進のための課題 ネオ生業の時代 ⑤

「後ろめたさ」からの卒業 「日本的な謙虚さ」からの卒業 ベンチマークとしての「キッチンカープラットフォーム」     1.「後ろめたさ」からの卒業 日本人が副業としてネオ生業を始めるのに後ろめたさを感じる理由は、主に企業文化や社会的な価値観に根ざしています。...

 
 
 

Comments


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page