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おもてなし+αによる価値創造:おもてなし2.0 ⑥

【内容】

1.これまでの整理

2.おもてなしとホスピタリティの違い

3.「おもてなし+α」の必要性



1.これまでの整理

これまで接客業の現状と課題、その歴史的成り立ちや、技術革新の影響などについて整理してきました。

①コロナ禍を経て、人材流出した接客業が、人手不足に陥り、コロナ後の回復基調に対応できていません。対応策としての時給アップや待遇改善が、経営を圧迫している状況です。

②接客業は、お客様の「ありがとうの声」が聞け、効力感を得られる魅力がある反面、給料の低さ、生産性の低さなど、構造的な問題を抱えています。

③日本における接客業は、江戸時代に発展しましたが、茶の湯の精神と結びつく中で、対価を求めない事を善とする「おもてなし文化」として定着しました。

④戦後、米国チェーンストア型の接客オペレーションが導入され、日本琉の接客文化で補正されました。「安くても、丁寧・きめ細かな対応が当たり前」、「お客様は神様」という価値観が定着しました。

⑤その結果 接客業は、質は高いけれど、生産性は米国の4割足らず、という状況になっています。

⑥技術革新に伴う、自動化やロボット化によって、「いる接客」と「いらない接客」の選別が必要になっています。

⑦東京ディズニーリゾートやスターバックス・コーヒーのように、日本独自のホスピタリティによる洗練も、特筆すべき。


2.おもてなしとホスピタリティの違い

接客サービスにおいて、以前から議論されるテーマが「おもてなしとホスピタリティとの違い」です。

どちらも招いた相手に対してサービスする事を意味しますが、おもてなしが見返りを求めない行為なのに対して、ホスピタリティは対価に対して想定されているサービス満足度を超えるための行為となります。

おもてなしは、サービスする側が精一杯考えて用意し、その設えの中でお客様に楽しんでもらう事で、提供者主体のため、全員が同じレベルでサービスを受けることができます。

これに対してホスピタリティは、顧客が望む事を精一杯叶えようとします。サービスを受ける側が主体で、顧客が要望しない限り何も提供されない事を意味します。

「結果平等」が、おもてなしで、「機会平等」が、ホスピタリティとも言えます。

サービス提供時の思想・文化の違いとも言えますが、「付加価値」を考える際には、「おもてなし」ではなく「ホスピタリティ」スタンスで、顧客一人一人にどんな特別サービスを提供できるのかを考えることが重要ではないでしょうか。


3.「おもてなし+α」の必要性

生産性の向上には、下記の様な施策が必要です。

①「付加価値」の向上の為には、「サービスはタダ」と言う風潮を払拭する必要があります。具体的には、付加価値に対価を払ってくれる「インバウンド重視」による、客単価のアップです。

②「労働量」の削減のためには、セルフやAI、ロボティクスの活用による「サービスのメリハリ」です。「丁寧すぎるサービスはもう必要ない」と言う社会認識も必要です。


本項では、労働量の削減を前提にした上で、「おもてなし+α」による価値創造の方策を検討していきます。

次回以降で具体的に「星野リゾート」「b8ta」「ファンマーケティング」をモデルにした施策を提案します。

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