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「身体ルネサンス」が都市と社会を変える:「身体ルネサンス」の街づくり ⑩

【内容】

  1. 消費経済ルールではない関係性づくり

  2. 静脈系の価値提供で「半分になった世界を取り戻す」

  3. 身体系プラットフォームで、都市も社会も変わる




1.消費経済ルールではない関係性づくり

都市の街並みは美しくなったのですが、その反面、道端の屋台はそのほとんどが取り締まられて姿を消してしまいました。

路上ライブ・ストリートダンスや大道芸などのパフォーマンス行為は規制の対象となり、予め設定されたスペースでのみ可能になっています。ボール遊びは、路上はもちろん公園でも禁止されることが増えました。

このように、どんどん締め付けが厳しくなり、飲食やスポーツはお金を払って「消費者」の役割を果たさなければ、都市の中では過ごせなくなってきています。

都市の中の活動は、消費経済というルールに沿って、「提供側」と「受容側」という関係で埋め尽くされてしまいました。

客だから、消費者だから、商品・サービスを提供されて当たり前と言う「受動的な姿勢」は、一度築かれてしまうと、なかなか見直すことが難しくなります。

これまで検討した来たように、この関係・姿勢でいる限り、「学び」も「出会い」も成長を生まれないのです。

その意味でファーミングやヨガ・プラスは、新しい関係性の起点として、有効ではないでしょうか。その他にも祭り、フェス、アート、キャンパス化など、「消費経済とは異なる関係づくり」が有効です。

学びや出会いに拓かれる為には、「今・この時に、他者や世界を味わう状況と姿勢」が必要になります。


2.静脈系の価値提供で、「半分になった世界を取り戻す」

現代都市は何でも、手に入るように見えながら、極めて消費経済・物質的な分野に限られ、いわゆる「動脈系の価値提供」に、偏っていることがわかります。

都市における身体系プラットフォームは、「静脈系の価値提供」において極めて高い可能性を秘めているのではないでしょうか。

そして静脈系の価値提供の仕組みは、従来の動脈系事業のような利益追求型ではなく、共感・共創型の方策と親和性が高く、サスティナビリティやステイクホルダー重視の時代動向にも整合すると考えます。

養老先生が指摘した「都市と自然」「理屈と感覚」「脳と身体」が分断され、前者が後者を駆逐することで、「半分になってしまった世界を取り戻す」ことに繋がると考えます。


3.身体系プラットフォームで、都市も社会も変わる

「静脈系の価値提供」が定着すると、都市に対して、コミュニティ意識と愛着が芽生えるのではないでしょうか。

これまでの「動脈系だけの都市づくり」では、都市には消費経済ルールに基づく、さまざまなカタチの「経営者と従業員」「店員と客」という舞台しかありませんでした。

しかし「静脈系の価値提供」を中心とした活動や交流を通じて、仲間という認識が共有されると、生活舞台として、コミットし愛着が高まっていくと考えます。

「いじめ」に対する閉塞感も軽減されるかも知れませんし、自然と自分とのつながる実感を通じて、「環境問題が自分ゴト化」出来ると、生活行動が変わると考えます。

「静脈系の都市づくり」は、「東洋哲学・道」を含む、伝統文化を持つ日本だから可能なコンセプトだと考えます。

宗教や哲学的には「生の意義は、他者との関わりを通じた進化にある」と言われます。

自分一人が「都市・理屈・脳」で紡ぎ出す妄想ストーリーに陥らないためにも、「身体を動かし、人・モノ・自然と実感・交流を楽しむ姿勢」が重要です。

「実践・知覚・学習」のシン情報化のサイクルで人間らしい生き方が可能になります。

この様な視点と価値観で、「身体ルネサンス」の街づくりを目指していくべきだと考えます。


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